現在、印刷博物館内で開催中の「グラフィック トライアル2014 響」
「オフセット印刷で探るグラフィック表現の可能性」が開催されている。

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今年のクリエイターは、浅葉克己さん、水野学さん、長嶋りかこさん、そして南雲暁彦さん。
毎年チャレンジングな事がなされていて、その過程も公開することで、見応えのある展示になっている。

その中の一つ、南雲さんのポスターは、「カレイドインキ」というインクで刷られている。
これは、4色印刷機で6色・7色印刷に近く、広い色再現を可能とした4色枚葉プロセスインキ、というもの。

大きな設備投資を必要とせず、従来のCMYKでは再現出来なかった「Adobe RGB」の色域の大半をカバーすることができる。

昨今、デジタル一眼レフカメラは14bitが主流になり、スマホ、タブレット、MacのRetinaディスプレイなど、色域が広く進化してきている。
フォトグラファーやレタッチャーが使うような業務用Adobe RGBモニタだけではなく、一般的な製品で透過光の色域は広がってきている。
またインクジェットプリンタも、インク(カートリッジ)を細分化し、色域を広げている。

一方、紙媒体を鑑みると、一般の雑誌やカタログは「CMYK 175線」が主流で、写真や絵画集、一部のカレンダーや特殊なものを除き、日常目にする印刷物は、ここ何十年かあまり発展していないように思う。

雑誌や書籍の販売部数の落ち込みは、ネット媒体の成長の裏返しとも言えるが、
もし、紙媒体で高色域インクや多色刷りが一般化すれば(コストも含めて)、印刷物の魅力をより伝えられるのではないかと思う。

最近は「TRANSIT」「BIRD」等、旅系雑誌の人気が高いが、こういうなかなか行けない世界の風景・文化的魅力が、さらに素晴らしい印刷で見られるとより印象も深まるし、全ての紙媒体の印刷がよくなれば、総体的に「印刷物」の魅力も再認識されるのではないだろうか。
 
 

写真ではわかりづらいですが、通常のCMYKインクとカレイドインキでの印刷では、
見た目の印象がかなり違います。


「グラフィック トライアル2014 響」展覧会情報
http://biz.toppan.co.jp/gainfo/graphictrial/2014/

カレイドインキ特長(東洋インキHP)
http://www.toyoink.jp/products/kaleido/feature.html#anc003

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