はじめまして、まさです。
ロンドンをベースに撮影のプロデュース・コーディネートを行っています。こちらに事務所を立ち上げたのは、2006年の秋のことで、もうかれこれ5年が経とうとしています。 光陰矢のごとし(英語では、"Time flies."と言います)で、月日が過ぎるのは、本当に飛ぶように早いものだなあとしみじみ思います。

日本にいた頃は、言葉(英語)さえ通じれば、ロンドンでも何とかなるだろう、うまくいくだろう、と漠然と考えていました。元々、英語好きでもあったので、その辺は少しながら自信があったのです。しかしながら、こちらで生活をはじめてみると、言葉はもちろんのこと、それ以外の部分でも様々な違いやギャップがあり、自分の考えは甘かったなあと思い知らされました。イギリスアクセントの英語にも悪戦苦闘するし、生活の中で、当たり前だと思っていたことも、なかなかうまくいかないことがありました。例えばですが、ロンドンでは、地下鉄がしょっちゅう止まるんです。駅に着くと、昼間なのにシャッターが閉じていて、今日は走っていない、もしくは止まってしまった、ということがよくあります。計画的な工事やメンテナンスが理由の時もありますが、信号の故障などというアクシデントが理由のこともしばしば。理由はともかく、信用できません。それに比べて、東京の地下鉄は、ほぼ完璧と言ってよいような感じではないでしょうか。2〜3分遅れで駅に着くと、車内アナウンスでお詫びをすることがあるくらいで、ちょっとストイック過ぎではないかなあと思ったりもするくらいです。日本でずっと暮らしてきた私にとって、「地下鉄はちゃんとしている。遅れない、ましてや、むやみに止まらない」、これが常識だと思っていました。しかし、ロンドンの地下鉄は、その私の常識をさらっと裏切ってくれました。おかげで、当初の私は、打ち合せや待ち合わせの時間に遅れてしまうという失敗を度々してしまいました。

ロンドで生活をしていると、当たり前のことかもしれませんが、「日本(自分がこれまで生活してきた環境)の常識は通用しない」と感じることが日常茶飯事です。これは、おそらく海外のどこで暮らしていても感じることだと思います。やはり、培われてきた文化や習慣が根本的に違うからでしょう。ロンドンは、こんなことを言うと誰かから怒られてしまいそうですが、けっこういい加減な感じです。でもこの「いい加減」には、ネガティブな意味でのいい加減も含まれていますが、良い意味での「良い」加減のような意味も含まれていると思います。日本に比べるとアナログで、ビジネスを含む様々な場面で、人々の行動に人間臭さが見え隠れする気がするのです。

先ほどは、地下鉄のネガティブな例をあげてしまいましたが、逆に、このような違いやギャップは、海外で生活や仕事をする上で、ある種の醍醐味であるようにも感じます。これによって、苦労することも(とても)多いのですが、同時に、新たな発見があったり、学ぶことも多いように感じるのです。
撮影の仕事を通じても、様々なことが起ります。ご存知の通り、撮影現場は、様々な意味で、より「事件」が起こりやすい状況にあると言えます。そこに追い打ちをかけるようにあり得ないことが起こったりするのです。(ふと、思い出しました。全く撮影とは関係ないですが、私の友人は、ロンドンで結婚式を挙げたのですが、その式場の教会がダブルブッキングされていました! このことが式が始まる1時間前に発覚し、大わらわになりました。私もその現場にいました)当初は、戸惑い、そして腹が立つことも多々ありました。でも今から考えると、その苛立ちの多くは、いつも日本と比べていた自分があったからだと思います。
今ではだいぶ慣れました。許容範囲(キャパ)が広がったというか、諦めたというか、よく分かりませんが、不思議なことに、このような状況を一度受入れてしまうと、腹が立たなくなってくるから面白いものです。「今回は、そう来たか」と、その状況を少しは楽しめるようになってきた気もします。そして、このような話を肴に飲むビール@パブは格別です(笑)。

このコラムでは、私が撮影プロデューサーとして、仕事をしている中で、興味深いなとか、逆に変だな・おかしいなと感じたことや思ったことをご紹介できればと思っています。それによって、イギリスや他の国の人々の考え方や文化などの一面をご紹介できればと思っています。
もちろん、写真展のインプレッションなど、アカデミックな内容にも触れるつもりです。でも、おそらく脱線が多いと思います。なので、その辺はご了承を頂き、お付き合い頂けると幸いです。
ロンドンやイギリスの素晴らしさ、海外で撮影する醍醐味や生活する面白さなどが、皆さんにお伝えできれば幸いです。

まさ@ロンドン秘密基地より
2011年6月吉日

▲TUBE(チューブ)と呼ばれているロンドンの地下鉄。写真の人と比べると分かるが、何気に小さい。端のドア付近の乗ると、真っすぐ立てずに少し屈まなければならないことがある。大柄な人が多いイギリス人にとっては窮屈だろう。
▲TUBE(チューブ)と呼ばれているロンドンの地下鉄。写真の人と比べると分かるが、何気に小さい。端のドア付近の乗ると、真っすぐ立てずに少し屈まなければならないことがある。大柄な人が多いイギリス人にとっては窮屈だろう。

▲駅構内にある地下鉄の運行状況を示す電子掲示板。これは週末のものだが、まともに動いているのは、半分ほど。週末は、集中的に工事を行なっているからだ。これはオリンピックを来年に控えているためだと勝手に思っているのだが、真偽は不明。。。
▲駅構内にある地下鉄の運行状況を示す電子掲示板。これは週末のものだが、まともに動いているのは、半分ほど。週末は、集中的に工事を行なっているからだ。これはオリンピックを来年に控えているためだと勝手に思っているのだが、真偽は不明。。。