ロンドンの寒くて暗い冬が今年もやってきました。日照時間が短く日の傾きが低くなることもあり、お昼頃を過ぎるともうすでに夕方のような雰囲気になります。長い夜が続きますが、街角には、クリスマスのデコレーションが少しずつ増えてきて、その彩りが人々の目を楽しませています。

この時期、以前にもこのコラムでご紹介したナショナル・ポートレイト・ギャラリー(以下、NPG)の「フォトグラフィック・ポートレイト・プライズ」のエキシビションがあります。毎年、多くの人々が楽しみにしているポートレイトのフォトコンテストで、今年のエキシビションは11月13日からはじまりました。私も楽しみにしていて、早速、このエキシビションに行ってきましたが、今年もたくさんの人々で賑わい大盛況でした。展示は、2015年の2月22日まで続きますので、是非、機会があれば行ってみていただけたらと思います。

実は、今回は、この有名なフォトグラフィック・ポートレイト・プライズではなく、これと関係のある「ポートレイト・サロン」のご紹介をしたいと思います。

ポートレイト・サロンは、2011年にキャロル・エヴァンスとジェームズ・ジェンキンスによって設立されたNPGのフォトグラフィック・ポートレイト・プライズを対象にした落選展(Salon des Refusés)です。つまり、NPGのフォトグラフィック・ポートレイト・プライズで選ばれなかった写真を対象としたエキシビションとなります。

2014年度においては、NPGのフォトグラフィック・ポートレイト・プライズには、1,793人の写真家から4,193点の作品が応募されたそうです。しかしながら、その中から選ばれ、エキシビションで展示されたものは、ほんの60点の作品となります。つまり言うまでもなく、大多数の作品が落選となってしまいました。ポートレイト・サロンは、これらの選ばれなかった作品の中から、ベストなものを紹介することを目的としているそうです。

2011年にはじまったポートレイト・サロンは、今年で4度目となります。2014年度は、1,184点の作品の応募があり、70点が選ばれました。そして今年については、はじめてのプリント作品のエキシビションが、11月6日〜11月11日の日程で、ロンドンのFour Cornersという場所で行なわれました。この後、イギリスの様々な都市でエキシビションが開かれる予定です。

このポートレイト・サロンの評判は、年々高まるようになり、今では、多くの写真家がNPGのフォトグラフィック・ポートレイト・プライズとこのポートレイト・サロンの両方に応募していると聞きます。

ポートレイト・サロンの作品を見てみると、もちろんですが、選ばれなかった作品にも素晴らしいものがたくさんあることに気付かされます。このエキシビションのお陰で、そのような作品にもスポットライトがあたる機会になることは素晴らしいことだと感じます。

日本からの応募も年々増えてきているそうです。是非、皆さんもNPGのフォトグラフィック・ポートレイト・プライズとポートレイト・サロンの両方に応募してみてはいかがでしょう? このポートレイト・サロンには、オンラインで応募(無料)できるのも魅力です。


Portrait Salon
http://www.portraitsalon.co.uk/

Photographic Portrait Prize 2014 by National Portrait Gallery
http://www.npg.org.uk/photoprize1/site14/index.php


© Tom Keen


© Marcin T Jocefiak


© Sophie Green


© Francesca Jones


© Dougie Wallace


© James Hobson


© Leonara Saunders