今回は、ロンドンで人気のビッグスカイ・スタジオ(以下、ビッグスカイ)をご紹介したいと思います。
(ご存知の方も多いとは思いますが)我々イイノ・プロダクションのロンドンオフィスは、ビッグスカイの中にあります。ロンドンにオフィスを立ち上げて以来のお付き合いで、ビッグスカイの方々には、もうかれこれ5年ほど、様々な面でお世話になっています。

ビッグスカイは、今年で創業7年目。我々がオフィスを立ち上げた5年前の段階では、スタジオは5面(スタジオ1〜5)でしたが、その後、2つのスタジオ(スタジオ6・7)が新設され、今では7面のスタジオがあります。

何よりも特筆なのは、広々としたスペースをもつスタジオ1。床面積180坪(白ホリ16.5m×14.3m)、高さ約5.5メートルは、まるで小学校の体育館のような大きさ。このくらいのスペースがあると、部屋をまるごとや小さな家を作ってしまうくらいの建て込みにも対応可能。様々なタイプの建て込みや工作の需要も多いので、ビッグスカイにはこれらに対応するための「セット・ビルダー」という建て込み・工作専門のチームがあり、主要なサービスのひとつになっています。また、スタジオ1は、建物の1階部分に位置し、駐車場スペースとドライブインで繋がっているため、車の撮影や車での搬入にもとても適しています。

そして、ビッグスカイの利点は、このような規模の(スタジオ1のような)スペースをとても立地の良い場所に有しているということ。ビッグスカイのあるイズリントン地区は、ロンドンの中心地からもほど近く、ユーロスターの発着地であるキングス・クロス・セント・パンクラス駅からも至近のため、パリをはじめヨーロッパからの人々にとってもアクセスしやすいと言えます。このため、撮影はもちろんのこと、ファッションショーやブランドのパーティーなどの様々なイベントスペースとしても活用されています。

実際、スタジオ1で、過去に何度かブランドのパーティーが開催されたのですが、なかなかの規模と豪華さでした。ある時は、スタジオの前にレッドカーペットが敷かれ(パパラッチも集まって)、スタジオの中はまるで別世界のように素敵にデコレーションされていました。特にびっくりしたのは、とてもお洒落な仮設トイレが10器ほど、機材庫スペースにスタイリッシュに並べられていたこと。でも、おそらくゲスト達はそこが機材庫スペースだったとは気づかなかったと思います。もちろん、これらはイベント会社がオーガナイズしたものですが、これらに対応できてしまうビッグスカイのキャパとスケールの大きさには感心しました。

私が個人的にお気に入りなのは、スタジオ2です。スタジオ1と同じく建物の1階部分に位置していて、間仕切りを開くことによって、スタジオ1とスペースを繋げることも可能。中くらいのサイズのホリゾントスタジオで、主に人物撮影に適したサイズと言えます。スタジオ2の特徴は、スタジオスペースとは別に中2階に自然光が入るリビングスペースが付属していること。例えば、撮影スペースとクライアントスペースを分けるという使い方もでき、人数の多い場合でも快適に撮影を進めることができます。もちろん、撮影の合間に休憩したり、打合せスペースとして活用することも可能。とりわけ、ここでのランチは明るくて気持ち良く、私のお気に入り。忙しい撮影の合間のリフレッシュになること間違いなしです。

スタジオ3〜5は、建物の2階部分にあります。これらは、55〜75坪ほどの中くらいのサイズのホリゾントスタジオで、特に人物を中心にしたファッション撮影に使いやすいサイズだと思います。これらのスタジオに共通していることは、ホリゾント以外のスペースがとてもゆったりと作られているということ。特にそれはスタジオ4と5についてより顕著です。大きな部屋の一部にホリゾントがあるというような形で、ホリゾント以外のスペースがとても広いので、大量の洋服やプロップなどがあるときにはとても重宝します。

ここ最近に新設されたスタジオ6と7は、建物の3階部分にあります。このフロアは、ビッグスカイの発展途上の部分で、まさに現在進行形で日々変化していっています。スタジオ6と7は、他のスタジオに比べると小さめで天井高も低め。スタジオ6はホリゾントがありますが、スタジオ7はホリゾントが無いオープンタイプのスタジオとなっています。規模の大きい撮影にはあまり向いていませんが、比較的小規模・少人数の撮影に適しています。料金設定が他に比べてリーズナブルな点も手伝って、稼働率が良いスタジオとも言えます。

我々のオフィスもこの3階部分にあります。このフロアは、スタジオ6と7以外は、クリエイティブ系の会社のオフィススペースとなっていて、ビッグスカイや我々の事務所の他にレタッチの会社やフォトグラファーの事務所、音楽制作会社の事務所などがあります。
我々がやってきた5年前は、この3階部分は、文字通り「倉庫」のような感じで、あまり機能していませんでした。スタジオ6と7もありませんでしたし、入っている事務所の数も少なかったです。でも、ここ数年は段々と賑やかになってきて、我々としても嬉しい限りです。

この3階には、この8月に待望のキッチンも完成! ここを拠点にケータリング・サービスがはじまりました。そして、このキッチンで腕を振るうのがロンドンでも注目の新進気鋭のレストラン「ビスロテック」。現状は、ケータリング・サービスのみですが、今後はビッグスカイ内にカフェ・レストランのオープンも検討しているそうです。そうなると、美味しい昼ご飯が毎日食べられるなあと、個人的にもとても楽しみです。
現在進行形で進化し続けるビッグスカイ、その様子を時折りレポートできればと思います。

Big Sky Studio
29/31 Brewery Road
London N7 9QH
Tel. +44 (0)20 4919 6600
www.bigskylondon.com

今回は、ビッグスカイの概要をご紹介しましたが、スタジオについてはまだまだ書きたいことがたくさんあります。ロンドンのスタジオの特徴やスタッフ事情、料金体系や機材のことなど、近いうちにもう少しつっこんだ内容を書ければと思っています。


スタジオ1で開かれたあるパーティ。上の写真もスタジオ1ですが、あまりの変わりようにびっくり。イギリス人はパーティが大好き、そして、本格的です。


スタジオ2のスタジオスペース。


スタジオ2に付属するリビングスペース。お洒落なカフェのよう。


ビッグスカイのブッキングチームの皆さん。