ロンドン・オリンピック関連で、ウェンブリー・スタジアム(以下、ウェンブリー)で撮影を行ないました。サッカー好きの方であれば、ご存知かもしれませんが、ウェンブリーは、「サッカーの聖地」として知られていて、数多くあるスタジアムの中でもひときわ権威が高いことで有名です。ロンドンの北西部に位置し、収容人数はなんと9万人! 現在、ヨーロッパの中では第2位の大きさで、屋根のついたスタジアムとしては世界最大だそうです。
ここでは、主にイングランド代表チームの公式戦、もしくはFA主催のクラブチームの主要公式戦であるFAカップやその決勝戦などが行なわれます。

ロンドンでは、過去に2回、1908年と1948年にオリンピックが開催されています。現在のスタジアムは、2007年に完成したのですが、旧ウェンブリー・スタジアムは、1948年のロンドン・オリンピックの主会場であったそうです。
2012年夏季のロンドン・オリンピックでは、ウェンブリーはサッカーの試合会場として使用されます。8月9日には女子決勝戦が、8月11日には男子決勝戦が、ここウェンブリーで開催される予定です。

やはり権威のあるウェンブリー、その撮影許可取得は、思ったよりも手間がかかりました。たくさんの質問、撮影の詳細情報や保険(パブリック・ライアビリティ)の証書に加えて、リスク・アセスメントの提出も必要となりました。

リスク・アセスメントとは、簡単に言えば、撮影現場で予想され得る危険性をすべて列挙し、その対策や解決策を事前にすべて書類で回答するものです。撮影許可の取得に際して、いつも求められるものではないですが、厳しいロケ場所では、このリスク・アセスメントの提出が必要となることがしばしばあります。

いろいろと細かい各種提出書類の作成も揃い、準備万端かと思っていたところで、ちょっとドキッとする出来事がありました。撮影日の直前の段階で、こちらの希望していた時間帯が急遽撮影NGに。前日まで、ウェンブリー側もOKだと言っていたのに、いきなり撮影不可になってしまったのです。正直、文句のひとつも言いたくなる状況でしたが、ここは冷静に対処しなければなりません。

イギリスでは、下手に文句を言ったり相手を責めたりして担当者の心証を害すると、それ以降、もう何も取り合ってもらえなくなったりする恐れがあるのです。なので、このような時は、冷静に(担当者には冷たく当たらず)最善策を考える方が良いようです。結局、他の時間帯に我々の撮影を移すことができたので、何とか無事に撮影を行なうことができたのですが、そのためにすべてのスケジュールを入れ替えたり、様々な調整が必要になったりで大変でした。(こういうことは、日常茶飯事でもあるのですが...。)

そして、いよいよ撮影。今回は、日本女子代表のサッカー選手がいらしての撮影でした。天候が安定しない冬場ですが、ロケ当日は幸運なことに澄み渡るような青い空。ピンと張りつめた冷たい空気の中で、とても寒かったですが、順調に撮影は進行しました。
この夏にはこのウェンブリーに戻ってきて、是非、決勝戦を戦って欲しいものです。頑張れ〜、ニッポンチーム!

ここ最近、日本の方から、「ロンドンは、オリンピックで盛り上がっているのか?」という質問をよくされます。人によって答えは違うと思いますが、私の答えは、「NO(あまり盛り上がってない)」です。街中でも、それらしき雰囲気はあまりないし、ニュースもそれほど多くありません。季節が暖かくなっていくと同時にどんどん盛り上がっていってもらいたいなあ、と思っています。

ロンドン郊外では新設のスタジアムも建設されていると聞きます。近いうちに、そちらの方にも足を延ばしてみる予定です。ロンドン・オリンピック関連について、またレポートしたいと思います。

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選手入場口。一般の方もスタジアムの見学が可能(有料)。

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スタジアム外観。上部のアーチがシンボルとなっている。

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ウェンブリーは、サッカー以外の会場としても使用されることがある。音楽やコンサートが主だが、カーレースのサーキットを丸ごと作ってしまうことも(写真は、Race of Champions)。