- Photographer
Munetaka Tokuyama
- 2011.06.21
初めまして。この度、ひょんなことからこのSHOOTING MAGAZINEでコラムを書かせていただくことになりました。フォトグラファーのMUNETAKA TOKUYAMAといいます。まずは初回ということで簡単な自己紹介から。
現在NYをベースにアメリカ、ヨーロッパ全土、中国そして日本で、それぞれのレップ<エージェント>と契約し、国問わず広告、雑誌等で活動しております。が、基本的に大阪の良くしゃべる兄ちゃんです。アメリカでキャリアを始めたため、日本と海外の比較をするほど日本国内写真業界にくわしくはないので、日本、海外の比較ではなく海外で活動するにあたって、個人的に感じたことやその経験から思うことを時には辛口に、また時には適当に堅苦しくなく続けていければと思います。
これから海外も視野に入れたい方々に少しでもお役に立てれば...。それと最初に言っておきます。少々矛盾な考えですが、私自身<皆!海外は良いぜ!'海外最高!とかとにかく海外に出ましょう!>という意見の持ち主ではないことも宣言しておきます。海外というのは必須ではなく選択のうちの一つに過ぎません。あと、出来ればNYでガチ活躍されている写真関連の人物に、ショートインタビューも絡めていければとも。twitter等でも質問を受付けられれば楽しいかな?
ではまず、アメリカに限定せず海外に進出するには? といった根本的なことから行きましょう。個人的にもこれから海外を目指したい。だが、どのようにすれば? といったメールや相談を受けることも多々過去にあり、その度に言うことですが、どうすれば? どのように? という問いに当たり前ですが100%正解の答えはない。漠然と海外へ!ではなく、要は「海外に出る理由、目的を明確にすべき」が最初です。<海外帰り>という訳の分からん経歴上の称号が欲しいだけなら、10万円も出せば日本のパスポート所持者は世界中ほとんどどこでも行けます。肝心なことはその国で何をしたいか? 何を成したいか?
色々不安や考える所はあると思います。一番される質問は、言葉がわからない。お金がない。人脈が無い。ビザが無い。レベルの高さ。等の疑問が投げかけられます。そんな殺生な〜。と言われるかもしれませんが問題が分かってるなら解決する。という一言だけ。考える時間があればそれらの問題を解決させる方に時間を費やすべき。ちゃんとした答えをキボンヌ。と言われると、
言葉_通訳を雇えば解決。
<国内英語学校の学費、費やす時間を考えれば雇った方が早い。>
お金_貯金つかえば解決。
<飲み屋にて仲間内で悩みや愚痴をこぼすのならば、全て貯金!>
人脈_人脈は作れば解決。
<地方から東京に出てきたり、この仕事を始めた時はどうしたの?>
ビザ_弁護士とまず相談。
<人、国によって様々な方法が有る、悩むなら弁護士に相談を。>
レベル_それでも勝つ。
<レベルの高さはいい訳。分かっているなら進出は諦めるべき。>
となります。上記の問題はたいてい海外で全く駄目だった時の言い訳でも使えるので、便利な言葉でもあります。ただ私が言いたいのは意地悪ではなく、根本的な問題は上記にあるのではなく、大切なことは自分自身の写真のみ。それさえあれば全て一瞬で解決致します。それが写真の良い所。<写真だけでなくクリエーティブに関して全てに言えます。
この10数年で海外はとても近くなりました。その分、海外で活動するのはそんなに特別なことでもなくなったと感じます。写真の種類にもよりますが、ワテ作品撮りで海外いきまんねん!なんて意味の分からんこと言う暇、金、時間があるなら、海外の媒体にその撮った作品を載せることをすべきであると私は思います。
海外で活動する私が言うのもおかしいですが、<海外=良い!スゴい!>というのは既に時代遅れ。片道切符でもう日本には帰らないつもり!というのも時代遅れ<これは親不孝とも言います。
海外に渡る前から日本に帰国した際のことを夢想するのも時代遅れです。日々想像以上に国問わず沢山のフォトグラファーが海を渡り、そして帰っていきます。今は<海外帰り>というのは既にブランドではなくなっており、<海外で何をしてきたか?>というのが当たり前のフェーズに移っていると言えます。私の感覚では海外帰りというのはおかしい。なぜ海外から戻って海外での可能性を捨てて日本のみで生きていくのか? 海外で活動してたならば海外の活動もキープすべきでは? 国一つ捨てないとその国で仕事できないのか? と思うのです。海外での経験は積み重ねるべきものなのです。完全帰国と同時に積み重ねたものをリセットする人が多いのは事実で、これは正直私には理解しがたい。海外で! というよりも、海外も! という気持ちで活動すべきです。この考え方は欲張りな考え方ではなく、至って当たり前の考え方と思った方が良いと思います。
ただ、1年くらい海外に出てキャリアアップ! と言うのも幻想と言えます。海外に出るということは一度自分を落とすことになることが多い。当たり前が当たり前でなくなる。言葉も分からない。よって自分の思い描く海外進出までは時間がかかることの覚悟と我慢が必要になります。
私は思うのですが日本で仕事があるならば、何もそれらを止めていく必要はないです。日本の仕事も続けながら海外と往復すれば良い。今の世の中24時間あればどこにでも行けるのですから。そしてわざわざ丁寧に海外に出ます! 宣言もしなくて良い。日本の携帯電話は優秀です。海外でも着信可能。クライアントにも何の不便もないはずです。私含め海外のフォトグラファーはそれが当たり前です。考えたらとても単純なことです。時差等、もちろん大変なことは多々あります。でもその時間を費やし我慢に耐えた時は、辛くとも国内のみでは知ることも感じることも出来ない素晴らしい世界が自分の眼前に広がる可能性があるということもこと事実であります。
オラ海外さ出るダ! というローカルな考えはやめて、海外も! というのが当たり前だと思うグローバルな考えを持ちましょう。
と、少々初回から辛口ですが、よろしくお願い致します。
▲PERSONAL WORK
▲PERSONAL WORK
▲PERSONAL WORK
▲撮影日は2011年3月11日。
SHOOTING編集長・坂田とトクヤマ君で、Web連載について恵比寿で打ち合わせ中、地震にあった。この写真は移動した渋谷駅の横断歩道橋で撮影。
Munetaka Tokuyama - Photographer
大阪出身NY在住。
現在アメリカ、ヨーロッパ、日本、香港のレップと契約し国問わずワールドワイドに広告、雑誌中心に活動中。アメリカにて受賞歴多数。Clients_NIKE,REEBOK,CANON
etc.躍動感ある写真では多分世界中で誰にも負けませんし負けてません。
WEB : munetakatokuyama.com
BLOG: munetakatokuyama.blogspot.com
TWITTER: twitter.com/#!/munetakanyc
- 2016.01.13NewYork Real Photo Life vol.21 発信する。という事。
- 2015.10.27NewYork Real Photo Life vol.20 日本のアシスタントを海外撮影に放り込んでみた。
- 2015.07.28NewYork Real Photo Life vol.19 展示に興味のない人間が展示をやると何を思ったか?
- 2015.06.26NewYork Real Photo Life vol.18 人はなぜ写真展をするのか?
- 2015.01.20NewYork Real Photo Life vol.17 新年明けましておめでとうございます&海外活動に対する質問と現実。
- 2014.07.01NewYork Real Photo Life vol.16 ケープタウンは撮影天国。
- 2014.01.14NewYork Real Photo Life vol.15 PARTY 清水幹太氏のコラム「ニューヨーク突撃記」を読んで。
- 2013.10.28NewYork Real Photo Life vol.14 日本から海外の仕事を持続すると言う実験。
- 2013.04.04NewYork Real Photo Life vol.13 NYで雑誌に逢えない日
- 2013.01.15NewYork Real Photo Life vol.12 賞をとりま賞。
- 2012.09.04NewYork Real Photo Life vol.11 価値観の変化と写真の権利
- 2012.07.09NewYork Real Photo Life vol.10 某アメリカ人アシスタント君の悩み。
- 2012.05.21NewYork Real Photo Life vol.9 ローカルと組め。
- 2012.04.04NewYork Real Photo Life vol.8 食える街の多さ。
- 2012.02.15NewYork Real Photo Life vol.7 "外国人"である事の強み
- 2012.01.19NewYork Real Photo Life vol.6 会社始めました。
- 2012.01.10NewYork Real Photo Life vol.5 時間の使い方・場所の考え方
- 2011.11.18NewYork Real Photo Life vol.4 僕が思う「本当の中国」
- 2011.10.17NewYork Real Photo Life vol.3 海外の広告撮影について。
- 2011.08.23NewYork Real Photo Life vol.2 海外雑誌を撮りましょう。
- 2011.06.21NewYork Real Photo Life vol.1 初めまして