随分ご無沙汰しております。
ケツを叩かれないと何もしない駄馬も私なだけにずーいぶん更新しないでいたら案の定編集長坂田氏にケツを叩かれました。だから書きます。

更新さぼってる間に、ケープタウン、ドバイ、ニューヨークに行き、そして今上海でこの記事を書いております。どの国をネタにしようかと考えて、日本からしたら一番レアであろうケープタウンでの事を書こうかと思います。

ケープタウンは南アフリカにある海沿いの都市です。
実は今まで何度かオファーもらって行く可能性があったのですが、実際今回が行ったのは始めてでした。

私自身、南アフリカは前回のワールドカップ、マンデラ大統領、アパルトヘイトくらいの知識しかなかったのですが、基本黒人さんの国だと思っておりました。たまにモデルのキャスティングなんかしてると南アフリカ出身の白人モデルに多く出くわします。それを少しだけ不思議に思っておりました。

実はケープタウンは時差がほとんどないヨーロッパの春夏撮影や、車撮影の撮影地としてとても有名な地です。そういった撮影が盛んな土地柄であるので、撮影に関連する周辺の環境も充実しています。

モデル事務所、スタイリスト、ヘアメイク事務所、制作会社等が十分に揃っており、撮影するのになーんにも困る事がない。そして何より驚いたのが現地制作スタッフのレベルの高さ。下手するとNYなんかよりも全然高いかも? と思わせる程仕事ができる事に感動すら憶えました。
何よりも外から来る撮影隊になれている。そこが一番助かる。


日本から珍しいと言う事は向こうから見ても珍しいようで、数日たった昼休みまで私の事を中国人フォトグラファーと思っていたようで、「日本人のフォトグラファーを始めて見た」という。数時間くらい珍獣を見る目で見られました。とても興奮しました。

ロケ地もよりどりみどり。ご飯もおいしい。物価も安い。
実際色んな国で撮影経験はありますが、ケープタウンはベストに近い。と感じます。アウェーであるわけですが、海外で仕事するとよくあるんですが、クルーの中で日本人は私だけなのにフォトグラファーだからと気を使って日本食レストランに連れていってくれようとする。

私は「イタリアンとかでいいから」と言っても最終的に日本食になる。今回もそうだった。連れて行かれたオススメのファンシーな日本食レストランのメニューには飲茶、パッタイ、寿司、カリー等があった。

テーブルひっくり返してやろうかと思ったがヘタレの私はベリーグッドと作り笑いして、噛みきれない海老を見えないようにナプキンに涙と共に吐き出した( ;´Д`) レアな国で日本食レストランに行く事ほどの愚行はこの世にはない。

現地のプロデューサーと話すと、「ケープタウンは駆け出しのフォトグラファーが経験を積むにはとても良い場所である」と言う。

現地の雑誌事情も中々充実しており、バジェットは少ないが多くの撮影機会が存在する。富裕層の白人が多く住むこの国には、そこそこのマーケットが存在するのである。
そして春夏撮影の期間、ケープタウンに滞在する欧州のフォトグラファーも多くいると言う。実際、私の撮影を手伝ってくれたデジタルテックは自分でも撮っているがベルリン、ケ―プタウンを3ヶ月ごとに行ったり来たりして、仕事していると言う。
日本国内だけで仕事をしてる人には信じられない程のフットワークの軽さである。


しかし、良い事ばかりだけでもない。現地で有名な撮影場所でイスラムのコミュニティーがあるのですが、そこでの許可を取っていた撮影中にいきなり近所のおじさんが摑み掛かってきて、私の持ってるものすご〜く高いカメラを壊そうとしてきました。

宗教上、女性の肌が晒される所を見るのを不快に感じる文化を持っているので、欧米では当たり前の撮影をしてる感覚でいたら、エラい目に遭う事があります。

国や場所によって色々個々の事情や環境があり、それを全てクリアしながら撮影するのはとても難しい。久しぶりにそう感じた撮影場所でもありました。

これから独立する若いカメラマンで興味あれば、南アフリカに武者修行行くのも良いかもしれません。ちょっとおすすめかも。

今回の撮影の後、現地プロダクションに「南アフリカでのレップさせて」と誘われたので、「ええで」と軽く答えて、さりげなく南アフリカにもエージェントが出来てしまいました。ま、現地仕事が発生しなくても何かの機会に助かるかもしれないので。


話は変わりますが今いる上海では、東京ミッドタウンみたいなお洒落でハイソなビルが多く建ち並んでおります。しかしそんなハイソなビルの1階にある大きなグッチのお店の前にでも、パジャマ姿のおばちゃんや、なんて呼ぶか分からない大きなトランクスはいてタンクトップ姿のおっちゃんがふっつーに座っています。

私はそれをすんごいイカす! と思うタイプの人間です。昨日、とんでもなく疲れていて変なテンションになった私は、寝間着に持って来た古ーい毛玉がいっぱいついたトレパンと100回以上は洗ったよれよれのTシャツでお洒落でハイソなビルの地下のレストランに食事に行きました。間違いなくそのレストランで私は一番みすぼらしかった。

だがきっと私は一皮むけた。

下積み、駆け出し時代、新しい服を買う事も無く高校生の時に買った古い服ばかり来てた私が、日本に帰る度におばあちゃんやオカンに「海外で外国人の人に見られて恥ずかしくない様にもっと綺麗な格好して歩き!あーだらしない!ほんまだらしない!」等と怒られ続けて来た。

30台の中盤を超えた今、また、これ以上ない程のだらしない格好をして外国のお洒落でハイソな百貨店の中を歩いてた事を知ったらまた、ガミガミと言われる事でしょう。

将来私も大きなトランクスとタンクトップ姿で高級ブティックの前に腰をでーん! とおろせる人間になりたい。いや。なる。それを信じてこれからも写真頑張ります。

あ、あと、写真界の最も大きい賞の一つ、アメリカのPDN PHOTO ANNUAL AWARDS の広告部門でWinnerに選ばれた事を、ここで自慢して今回は終っておきます(なんでもいいから名誉より賞金をくれ。と言うのが本心である)。

http://www.pdnphotoannual.com/gallery/2014/#15-Munetaka_Tokuyama


ケープタウン町中からすぐそばに有る山々。こんなのが腐る程近くにある。


ケープタウン近郊のビーチに有る小さなお家。何の為の物か聞くのは忘れた。


NYで行われたPDN PHOTO ANNUAL AWARD PARTY受賞者、関係者の集合写真。ピースマークして日本人的自己主張を行って参りました。


PDN PHOTO ANNUAL AWARD WINNERの印(名誉よりも賞金もくれれば良いのだけれども)。