- Photographer
Munetaka Tokuyama
- 2015.01.20
新年あけましておめでとうございます。
またまたご無沙汰の更新になってしまいました。
今年も日本でも海外でも頑張ろうと思います。
こういったコラムをやらせてもらっていると、読んでくれている方々からご連絡や質問いただく事があります。そのほとんどが海外での活動についての事です。
個人的に会いたいとも言っていただけるのですが、別に僕は同業者の為の留学仲介業者でもなんでもないのでお断りしております。なので、まとめて今回書きます。
私の場合はNYでキャリアをスタートして日本での現状をあまり把握していないので、NYにいながらの私の考えがありましたが、日本での時間を過ごすと、少し考えが変わる事も出てきます。
多くご質問をいただくのは、
海外に出たいけど不安。
海外で成功する為には?
海外でエージェントに所属したい。
海外の雑誌に自分の作品掲載してほしい。
等等。
ハッキリ言って、日本という世界稀に見る大きなマーケットで活動していて、必要なければ海外なんて視野に入れなくてもええやんけ。と言うのが私の考えですが、今の日本と海外のつながりのなさ、これからの日本を含む世界の商業写真業界の現状と将来を考えると、海外は視野に入れた状態で活動して行くのがbetterだ。と改めて思います。
その場合、「行動するのは早ければ早い方が良い」と思います。
(いや~、日本でちょっと名が売れてからいこうかな~。って思っています。)
(お金貯めてから。。。)
(英語マスターしたらすぐ!)
(ポートフォリオ完成したら!)
等等、個々の考え、準備、計画あるとも思います。が、そんな事どうでもいいから今すぐ行け!と思うのです。
日本で名が売れても、国外に出れば名無しの太郎になります。全く無意味。
お金貯めても一瞬でなくなります。
英語マスターするなら行って向こうでマスターする方が早い。
ポートフォリオを日本で完成しても、外に出ればほぼ通用しないし武器にならない。
ただ、一つ大きな武器になる事は無知と若さだと思います。
変に写真で食えるようになってから海外に移ると、一層失敗の可能性が増えると感じます。それは少しでも写真で食える時期を経験したら、食えない事実に向き合う事が困難になる。なぜなら上記で上げた個々の考えや計画全て満たしてもほぼ確実に食えなくなるから。
海外でする「苦労」と「我慢」はなるべく早くしておいた方がよい。
写真を海外のメジャーではない印刷物、ウェブに対価なしで掲載してもらう事は日本からでも出来るでしょう。しかし、本当の意味で海外での活動というのは、「写真で対価をもらい、それで生計を立てる事」をいいます。写真で対価を得られる人間でなければ、エージェントはまず決まらない。エージェントの助けがなければまず海外での成功は見込めない。
これからも益々世界的に写真を使う仕事は減って行く事でしょう。最近、知っているフォトグラファーエージェンシーが、3社たて続けにビジネスをクローズしました。ふと立ち寄ったビルボードの聖地、NYのタイムズスクエアからは、ほとんどグラフィックのビルボードが消滅していました。この現実はどういう事か? 冷静に受け止めて考えなければなりません。
個々の国で全体的に商業写真界は衰退している現実を直視し、ならばどうすれば良いか? 外に出て写真を撮る事が一つの方法であると考えます。馬券で言うと日本一点勝負ではなく、海外という多くの馬券を買いレースに備えた方が良い。NYやパリやロンドンだけではなく、色んな国で写真で戦える活動形態を作る準備をしたほうがいい。
いい訳や準備に時間を費やしてるうちにレースは終わり、時代は動き乗り遅れます。
最近、私に実際起きた不思議な現象が、以前アメリカの雑誌で撮った一つの写真のロイヤリティー総額が2万ドルを超えたこと。
有名人を撮った写真でもなんでもない一つの写真が、多くの国々の雑誌に使用されまくっているのです。それは、どういう事を意味するかと言うと、私の写真を使ってくれた雑誌が新たな撮り下ろしをしていない。撮り下ろしをしないと言う事は、そこで得れる対価を得るチャンスが消滅している。
過去の写真を使い回して雑誌が作られ続けているのです。これからもっとこういった現実が拡大していくでしょう。その現実の中で写真を生業にしてどう生きていくか? を各々方重々に考えて生きられませい! とコツコツ増えていく棚からぼたもちのロイヤリティーを何に使おうかと、アホみたいなツラして考えながら年始を迎えていたら、ヨーロッパの人間の仕事のできなさ具合に新年早々イライラさせられております。
そして一つ、海外に渡り苦労しても苦労しても目が出ない可能性の方が高い。多くの人達は海外から帰って来て華々しい活躍している"成功例"のみしか知らないし、見ていない。
本当の現実は毎年何百人という人間が、各々大きな希望と夢と目標を胸に秘めて海外に渡り、そのほとんどは夢と現実の狭間でもがき苦しむ。全く何にも届かず諦める人も沢山おります。東京に上京した人も同じと思います。成功例なんて氷山の一角なのです。
その「最悪の場合の覚悟」も心に決めて飛び込む気持ちも、私は必要だと思います。ただ、お正月だからハッキリ言います。海外に半年やら一年やら行って海外帰りを名乗る人も多くおります。
正直個人的には気持ち悪い。言葉も文化も分からない外国で半年一年では本当の現実に届くとは思わないし、そこから何かを感じる事も出来ない。アシスタントすら真っ当に出来ない。その程度の期間では語学学校で出来た外国人の友達とホームパーティーするだけで終わる。
NYやパリで死にものぐるいで頑張ってる多くの人間を知ってるからこそ、簡単に(にゅーよーく、ぱり、ろんどんでかつどーしてまひた~。)等と簡単に言ってほしくはない。海外で必死に頑張り、現地での日本人クリエイターの評価を上げている人々に失礼です。
海外に憧れ海外で活動機会を望むのであれば、海外で実績を作るべきだ。その為には大きな覚悟が大事。やるならガチでやりましょう。ハッタリはなしだ。ガチでやる人間にしか将来海外の選択肢は発生しない。そしてそのアクションは早い方が良いと私は感じます。
さてさて、今年の教訓はハッタリと見栄がとても苦手で、と言うか嫌いで今迄生きてきていますが、大人の世界にはハッタリと見栄は必要な物なのだと、日本で過ごすと感じる様になってきました。
なので2015年は、少しはハッタリと見栄を使える様になっていこうと思っています。今年僕がお会いして頂く方々は気をつけて下さい。僕の口から吐き出される音声の8割はハッタリと見栄になりますので。
コラムさぼっている間に上海にいっておりました。
コラムさぼっている間にいった上海のスタッフが珍獣をスタジオに持参しておりました。
コラムさぼっている間に沖縄久米島にいっておりました。
コラムさぼっている間に京都で舞妓はんに写真をねだりました。
コラムさぼっている間に大阪が誇るみさき公園にいっておりました。
コラムさぼっている間に極寒のNYの臭い地面に這いつくばって撮影しておりました。
コラムさぼっている間に極寒のブルックリンブリッジで撮影しておりました。
コラムさぼっている間にブルックリンの前に住んでたグリーンポイントに立ち寄っておりました。
コラムさぼっている間に世界遺産熊野古道にお参りにいっておりました。
コラムさぼっている間に大分で温泉に入っておりました。
Munetaka Tokuyama - Photographer
大阪出身NY在住。
現在アメリカ、ヨーロッパ、日本、香港のレップと契約し国問わずワールドワイドに広告、雑誌中心に活動中。アメリカにて受賞歴多数。Clients_NIKE,REEBOK,CANON
etc.躍動感ある写真では多分世界中で誰にも負けませんし負けてません。
WEB : munetakatokuyama.com
BLOG: munetakatokuyama.blogspot.com
TWITTER: twitter.com/#!/munetakanyc
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