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作品詳細

HOPSCOTCHINGS

佐藤倫子

HOPSCOTCHINGS/佐藤倫子

作家プロフィール

佐藤倫子

佐藤倫子

東京都出身。東京工芸大学短期大学部 写真技術科卒業。
株式会社資生堂 宣伝部入社。退社後フリーランスに。
写真家として都内中心に個展・グループ展を開催。企画からイベント、講座やセミナーなどへも活動。
主に化粧品などの広告写真を撮り続けてきたことが基本となり、作品にも「美」のある写真をつくり続けている。
また内面からの美しさも追求しており、太極拳のインストラクターの資格も取得。
公益社団法人 日本広告写真家協会(APA)正会員。

Michiko Sato

作品仕様

作品名HOPSCOTCHINGS
作家名佐藤倫子
エディションOpen Edition
サインあり
技法ピエゾグラフ
作品本体サイズA4
お届け期間3週間以内
品番MS065-14000755
作品本体価格49,800円(税別)
額装込み59,800円(税別)

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私が思う「ポジティブでハッピー」な世界。 プリントからもそのエネルギーは伝わるはず。 - 佐藤倫子

広告や雑誌で活動している佐藤倫子さんは、作品展も数多く開催している。
中でも2013年の「HOPSCOTCHINGS」個展(オリンパスギャラリー)は、ビビットな色彩と斬新なカメラワークが話題を呼んだ。
2014年には、初の写真集「HOPSCOTCHINGS 〜光と色が織りなす幾何学模様〜」を出版。
情緒を排したミニマムな構図の写真はどのようにして生まれたのだろうか。
クロップされた視点が独特ですが、このようなスタイルの作品を撮り始めたきっかけを教えてください。
唐突ですが、私、石が好きなんです(笑)。昔、ある小道を通った際に、その小道の壁面が、石を重ねて出来ていたのですが、その石の壁面を見た時に何を思ったのか、涙が出てきたんです。

その壁面の石は、波が覆い被さるかのような勢いのある積み方がされていて、「わぁ〜」と押し寄せてくる感じ。「スゴイ!」と思ったら、そこに「重森三玲 作」と書いてあったんです。
それで、日本庭園とかにもあまり興味がなかった私が、作庭家・重森三玲さんの事を知りました。

その後、京都へ出かけた際に「そう言えば、この辺りに重森作品があったはず」というのを思い出して、京都の庭園を集中して撮影した時期がありました。京都を移動するのに一番便利な原付バイクを借りて(笑)。

一般的に「庭園」を撮る人は、ワイドレンズを使って、全体像を写そうとしますよね。でも私は「模様」として、「テキスタイル」的な視点で撮影していました。

当時は仕事で「カンボ」(大判カメラ)を使っていたのですが、使い込んでくるとカンボの水準器の正確さがだんだんあてにならなくなってくるので(笑)、そうなると自分の目で水準を計る様なりますので相当鍛えられたんです。庭園はPENTAX 645で撮っていたのですが、自分の体が三脚になったつもりで、垂直、水平を意識しながら、パーツパーツをフィルムに納めていました。「作品として発表しよう」とか、そういう意識もなく「なんとなく面白いなあ」という程度でした。

「日本庭園」の奥深さから日本の文化に惹かれていき、その後は歌舞伎にはまって、定期的に通っていました。 写真業界は、フィルムからデジタルに移行する時期で、自分自身が壁にぶつかっていた時期でもありました。「なにもしたくない」症候群(笑)。
フリーズしている時に歌舞伎を見ていて、全てが歴史と伝統に裏付けされていてすごいわけですが、自分はやはり写真家目線だったのか、「舞台照明」に惹かれていきました。

光がフラットでキレイに映る。影がないのに、メイクや衣装の積層で陰影や立体感を見せていたり、小道具の後ろの葉っぱも、その色が映えるようなライティングがされていて、その光にすごく興味が沸きました。 それが影響してか、「あの光が、自分が好きなライティングなんだ」と言う事を自己認識していた時期でした。
「庭園の一部を写し撮る」、「歌舞伎の光」がポイントなんですね。
庭に関しては、もちろん全体を見ているのでしょうけど、いざ撮るとなると「自分スイッチ」が入って、違う目線になっているんでしょうね。

それに、もともと細かい仕事をしていたからかも知れません。化粧品の撮影も繊細ですし、モデルにしても、アイラインとか、メイクへのこだわりとか、そういう"凝縮された部分"を見つめる習性がついているのかも(笑)。
「日本庭園」から「都会」「ビビットカラー」と、対象とするキーワードが広がってきました。
色彩に関しては「感覚」なんです。撮影の仕事を始めた当初から、タングステン、ストロボと格闘して、「どうしたら自分の好きなライティング」になるのか、「どうしたらOKが出る光を作れるのか」、ずっと考えながら仕事を続ける中で、ある時ふと「もの凄くキレイなグラデーション」を外で見たんです。

自然光は究極の光ですし、私達は自然光とは違う美しさや見え方をスタジオで作っているわけじゃないですか。でも、その光を見た瞬間に「ああ、これにはかなわないなぁ」と感じた。そんな素晴らしい世界で生きていることを考えたら、プライベートでは、「好きな光さえ見つければ、撮りたい対象はいくらでも出てくる」と思うようになりました。

広告というコンセプトやラフがある世界とは別に「私が撮れるもの」「私が表現できるもの」を自分からどんどん発信していこう。作家として作品を発表していけば、「別の何か」が始まる気がしました。

ちょうどそのタイミングで、オリンパスから女性をターゲットにしたデジタルカメラが発売され、「そのカメラで作品を撮る」という流れがしばらく続きました。
カメラも軽くて持ち運びやすいので、外でたくさんさん写真を撮り歩きました。今まで庭園で見て感じていた感覚で、街の中、日常の中で、自分の好きな光、色を切り取っていました。
このシリーズへのこだわりを教えてください。
「自分の好きな光」という話をしましたが、それと「絶対に非現実的」でいたいんです。私が思う、「ポジティブ」で「Happy」な世界。
現実の社会では暗いニュースが溢れていますが、私の写真の中では、ネガは全て排除しています。
「写真っぽくない」とも言われますが、ストレートフォトです。リアルなものを撮って見せていくのが写真の面白さなので、出合った場所、出合った光、その一期一会を大切にしています。
このシリーズは日常的な流れの中で撮影しているのですか、それとも意識して撮りに行かれていますか。
作品は意識して撮りに行っています。「今日は絶対いいものが撮れる!」って、願をかけて出かけますね(笑)。 場所はざっくりとした目星はつけていますが、細かくは決めていません。鼻フンフンさせながら歩いてますよ(笑)。その時の私、相当テンション高いです。

こういう作風だと、「面白いね!」とか「変わってるね」ってよく言われます。受け入れやすい人と、そうでない人がいらっしゃると思います。賛否両論あるのは作品の常ですからね。 ただ私は自分の写真を愛していますし、このプリントを飾って頂いて、そこからエネルギーを感じて頂いたり、「よしがんばろう!」って思っていただけると、写真家冥利につきます。これからもポジティブに、継続して作品制作に取り組んでいくつもりです。