- イイノ・メディアプロ
増田昌大
- 2011.06.20
レンタルスタジオで常に人気の上位にあがるイイノ広尾、イイノ南青山スタジオ。
レタッチルームや制作部門の新設など、
成長し続けるイイノグループの現在とこれからを
プロデューサーの増田昌大さんに聞く。
まずイイノグループの現在までの流れを教えて下さい。
イイノはもともとスタジオ(当初はイイノ広尾スタジオ)だけでスタートをしています。スタジオだけのビジネスというのは、時間の経過とともに箱も機材も老朽化していきますし、またスタジオスタッフも入れ変わっていきますので、一番良い状態を常にキープしていくことはとても大変です。
そのため、創業当時からレンタルスタジオだけではなく、その他「プラスαのことをやっていこう!」という目標が会社の中にありました。その第1弾がクリエイティブ部門の新設です。グラフィックを中心としたデザイン制作部門は、途中からIXNO image LABORATORY(以下IXNO)として広尾スタジオの3Fで拡張。またレタッチ部門は当初は広尾に、更にその後、表参道にも専門のレタッチルームを設け、それぞれのマーケットを大きくしていくような試みをしています。この状態になるまでに7~8年を費やしています。
その後、「海外コーディネートをしよう」ということになり、ロンドンに「IINO LONDON」を開設。現地のコーディネートや、イギリス在住フォトグラファーのアシスト、ロンドンから日本への撮影のコーディネートなどをするようになりました。
- (左)イイノ広尾スタジオ (右)広尾レタッチルーム
- (左)イイノ南青山スタジオ (右)広尾レタッチルーム
- 表参道レタッチルーム
ロンドンはBIGSKY STUDIOの中に事務所があるんですね。
そうです。縁あってスタジオの中に事務所を構えています。スタジオには様々な撮影スタッフが来ますので、そこから仕事を広げていくという狙いもあります。現在はイギリスに留まらず、ヨーロッパの他の国のコーディネートもし始めています。
最近はムービー撮影のサポートもしています。今やプロフォトグラファーも、デジタル一眼レフカメラを使ったフルHD撮影を、仕事として受けるようになっています。最終的には編集をして、フィニッシュ(完成映像の納品)まで仕上げられることが目標ですが、まずはそういったムービー撮影自体のサポートとして、Redrockmicro等の機材面の充実、ムービー撮影のノウハウを持ったスタッフの育成に注力しています。
またデザイン部門のIXNOでは、テレビのタイトルバックやMUSIC VIDEOなど、すでにムービー関係の制作も請け負ってはいますが、今後は自分達のオリジナルの作品を制作することで、新しい表現の発見、それに伴う撮影の技術面の向上を目指しています。
イイノが早くにデジタルカメラによる撮影やレタッチのサポートを始めたように、
これからは「ムービー対応も」ということですね。
そうです。ただ機材はお金を出せば揃えられることですので、カメラ回りのサポートから、最終的にはイイノなりのセンスを活かした企画提案、撮影、編集、フィニッシュまでを請け負える形が理想ですし、そういう力を蓄えていくことが大事ですね。ゆくゆくは「映画を撮る」という大いなる野望があります(笑)。
デジタル一眼レフカメラでHDムービーが簡単に撮れるようになり、フォトグラファーから「明日、そっちで撮影があって、ムービーも一緒に撮ってくれないかと頼まれているんだけど...」と言った相談が増えてきています。
それに対応する知識やノウハウは蓄えてきていますので、スチルとムービーのセット撮影が一般化すれば、またビジネスが一歩広がる可能性はありますね。
また先日もIXNOスタッフが、雑誌の仕事でハワイへムービーを撮りに行ってきたのですが、そういうロケの場合でも、定常光の照明機材を含め、全面的にサポートします。
今、そういった各セクションがそれぞれに育ってきているので、グループ内の強みをフルに活用して、撮影に関わる仕事全般をお手伝い出来ればと考えています。
増田さんのようにレンタルスタジオにプロデューサーが在籍しているところは少ないですね。
スタジオの予約管理やスタッフを育成するマネージャーとは別に、営業的なスタンスの方はいらっしゃいますが、撮影全般のサポートやそれに伴う予算管理などは、各セクションが充実、機能していないと、トータルでコントロールするのが難しい部分もあります。そういう意味ではプロデューサー的な立場で動かれている方は少ないのかもしれません。
白ホリのスタジオは、規模の大小はあれ、箱ものには変わりありません。なので、スタジオを貸す、借りるというだけでなく、撮影に関して何かあれば「どうしたらいいんだろう?」というところから、とにかく相談して頂ければありがたいですし、そういう存在になりたいですね。
ケイ・オガタさんなどもそうですが、フォトグラファーが、イイノのスタジオスタッフやレタッチャーなど、
同じ人を指名してチーム的な形で仕事をされています。
ありがたいことに指名はよく頂きます。どのセクションでも「イイノの誰か」ではなく「イイノの○○さん」というように信頼され、指名されるようになりなさいと、教育しています。私もプロデューサーとしてその間を受け持ち、潤滑油的にフローが流れるようサポートしています。
特にスタジオ部門については入社後数年でスタッフは「卒業」していきますので、人は絶えず循環しています。だからこそ社員教育はとても大事な要素になりますし、力を入れて取り組んでいる部分でもあります。
また卒業生でなくても、フォトグラファーの作品撮りに無料でスタジオを貸し出したりもしています。イイノグループ全体が常に「フォトグラファーと一緒に成長していけたら」と思っています。
増田昌大 イイノ・メディアプロ
1973年生まれ。
様々な仕事を経験後、
2001年(株)イイノ・メディアプロへ入社。
現在に至る。