- 2012.01.29
SIGMA SD1
●SIGMA SD1
- 有効画素数:約4600万画素
- 撮像素子:23.5×15.7mmサイズ X3ダイレクトイメージセンサー(CMOS)
- 最大記録画素数:約4800万画素
- 記録モード:ロスレス圧縮RAW(12-bit,High,Medium,Low)、JPEG(High,Medium,Low)
- 実撮影画角:レンズ表記の約1.5倍の焦点距離に相当(35mmカメラ換算)
- 撮影感度:ISO 100〜6400
- ファインダー:視野率縦98%、横98% 倍率0.95倍(50mm F1.4 〜 ∞)
- 記録媒体:CFカード(Type I,UDMA対応)
- 画像モニタ:3.0型、約46万ドットTFTカラー液晶モニタ
- 大きさ:145.5 mm (幅) × 113.5 mm (高さ) × 80.0 mm (奥行)
- 質量:約700g(電池、カード除く)
- 本体価格:オープン(実勢価格70万円前後、ボディのみ)
有効画素数4600万画素を誇るSIGMA SD1。
アキューブ/アマナのチーフフォトグラファー宮原康弘さんに
SIGMA SD1で撮影してもらい、メリットや改良点などを聞いた。
SIGMA SD1は4600万画素と、デジタル一眼レフの中では未だに最高スペックです。まず撮影した印象から聞かせて下さい。
「画質は確かにいいな」という印象を持ちました。ただ連続してシャッターを切っていくと、バッファが一杯になってしまい、切れなくなってしまいます。センサーの性能としては結構いいなあという感じはしています。キヤノンやニコンの速さを知ってしまうと、人物を撮るのはちょっと厳しいかも知れませんね。
フィルムはRGBの3層を光が透過していきますよね。このSD1のセンサーそのものが、RGBの3原色を縦系列に含んでいる構造だから、フィルムに近い描写というのでしょうか。似ている気がします。
他のカメラは味付けによってシャープネスが上がったり下がったり偽色が出たりしますよね。1枚のセンサーの中にベイヤー配列になっているから構造がそもそも違うわけですが、SD1はそれがないため、素直な描写になっています。そういう意味では画質的にはいいです。
有機物の花と光を屈折させる氷は被写体としてハードルが高そうです。
実験的な作例として氷を選びました。写真の左サイドからBOXライトをドンとあてています。そうすると氷の面に強烈に光を反射する部分が出てきます。そこの飛び具合が、他のカメラで撮るとたいてい白飛びをおこすのに対し、ある程度ディテールが残っています。ハイライト側が結構粘るんだなという印象は持っています。シャドウ側の情報量も割とあるので、センサーとしては優秀だと思います。
センサーサイズがAPS-Cじゃないですか。このクラスの一般のカメラはローパスフィルターが入っていて画像が眠くなるのですが、構造上モアレが出る心配がなく、ローパスフィルターが要らないというのが、画像がシャープに見える理由なんでしょうね。
センサー自体の発想はいいですよね。
当初、このセンサーが出てきた時に「将来的にはこれが主流になるんだろうな」と思っていましたが、現実的にはそうなりませんでした。たぶん一般的なCMOSやCCDの画素数が上がるスピードが早かったので、RGBのセンサー位置がベイヤー配列であっても関係なくなっちゃったんですね(笑)。
今やプロ向けカメラではフルサイズ(35mm)が主流じゃないですか。そのためスペック的には見劣りする気がしますが、画質自体はいいんですよ。でも実際に自分で使って見ないと、このシャープさって伝わりづらいんですよね。
発色はどうでしょうか。
特に癖のある発色ではなく、RAWからのディベロップではトーンの付け方も割と自由に調整できます。花の色も彩度が上がることなく、現物に近い色です。
この写真は、BOXライトに夕焼けみたいな色が付いたカラーコルトンを貼付けて撮影しています。そうすると、風景の青い空だったり、赤い夕焼けの色が同時に氷に写り込むわけです。この映り込みを見るとその色の差が出ているのがわかります。
でも他のカメラで撮るとなかなかこういう風にならない。単色になったりするんです。氷に反射している微妙な色の差をセンサーが認識できないんですね。あと色の明度の問題で飛んでしまったりして、普通は出にくい。比較して撮ったわけではないですが、良く出てるなあと思います。
後は価格なりのデザインや剛性感があるといいかな(笑)。実勢価格60万円前後のカメラなら、しっかりしたボディのカメラが買えますからね。値段なりの所有感、満足感も欲しいところです。アマチュアの方がこのセンサーに惚れ込んで使う事を考えれば、嗜好品としての「造り」と「記録スピード」はがんばってほしいですね。
風景写真ならメディアに記録すればいいと思いますが、データ量の大きさを考えると、PCに直結して撮影できた方がベストです。4600万画素ですから、かなりの拡大にも耐えられるし、A3サイズあたりならかなりキレイなプリントが出せるはずです。
RAWデータのディベロップはシグマの専用ソフトで行ないます。LightroomやCaptureOneで現像が出来ないのはセンサーが特殊だからでしょうか。フジのFinePixS5 Proも、センサーがCCDハニカムで、画質は良かったですよね。このX3ダイレクトイメージセンサーはそれ以上のように思えます。
数が出ないとコストが下げられないというのがあるのでしょうが、シグマにはがんばって頂きたいです。
▲ こちらは同じアキューブのフォトグラファー高梨遼平さんが、SD1で撮影した作品。
ヌケの良い風景写真の後ろからライトをあてた透過光をグラスに写り込ませ、それを撮影している。
事情により取材が遅れてしまい、大変申し訳ないと思っていますが、
時間が経った事で課題は見えてきているはずなので、アップデートに期待したいです。(編集部)
■ シグマ
http://www.sigma-photo.co.jp/
■ SD1 スペシャルサイト
http://www.SIGMA-SD.com/SD1
■ SD1 製品紹介ページ
http://www.sigma-photo.co.jp/camera/sd1
宮原康弘 Yasuhiro Miyahara
京都市に生まれる。
東京写真専門学校卒業。
1984年 アーバンパブリシティ株式会社 (現アマナ)に入社。
2005年 株式会社アキューブ設立と同時に代表取締役に就任。
http://acube.jp/
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