- Photographer
伊藤之一
- 2016.08.23
久しぶりに訪れた琵琶湖そして比叡山。
アスファルトに覆われた道を一歩それ緑多き道を歩く。土の匂いと石ころの感触を足裏に感じながら五感が呼び覚まされていくのがわかる。
ただ今回の撮影はいつもと違う。動画(SONY)の仕事である。軽量なボディのhandycamを携えての再訪は、戸惑いながらも新鮮な体験となった。
東京にてテスト撮影を行い、長めに撮影しているつもりが意外とカットが短く「長めで」とお願いされ、では30秒は回すということでとこれが意外と長く感じられ風景の中に身を静かに置く実感が持て新鮮だった。改めて自らのセッカチさに閉口してしまう。

そっと三脚を立てカメラをセット。いつも通りアングルを決め、いつも通り撮影時いつもの癖で息を止めていまい、、、。さすがに30秒は持たなかった。
まずは動画撮影のリズムを掴まねばと撮影ボタンを押す前に深呼吸して呼吸を整えゆっくりとリリース。撮影の間はゆっくりと呼吸してジッと風景を感じる。チャンスを捉えるというよりは、「丸ごと印象をすくい取る」という感触を感じた。これは楽しい。

今回のロケは目まぐるしく天候が変わり、本当についていた。様々な表情を見せる風景の中で4Kによる高画質の描写は木々や雲、雨による霞みの細かなヂィテイールも良く表現されていている。小型なカメラの取り回しのスムースさもありがたく、動く高画質につどつど感動してしまう。その場を本当にリアルに感じる。

今回は音楽のセレクトもさせて頂き、これもまた新鮮で、編集でその場の水の音とセレクトした音楽をうまく重ねていただいたりと撮影時のイメージを更に膨らませていただいた。映像と音楽、隠れ里への心地よい誘いをすることが出来たのではと感じている。撮影後最終的な仕上がりまで編集作業を重ねて編集の重要性を感じ、また同時に撮影時の確かな感触をより信じようと感じた。ラストのシーンへの流れなど編集スタッフの力量に感謝しきりだ。この度のお仕事にお声がけいただいた坂田編集長、企画を支持していただいたsony様、アマナスタッフの方々に感謝を申し上げます。
伊藤之一 - Photographer
1966年愛知県生まれ。1991年日本大学芸術学部写真学科卒業 2000年博報堂フォトクリエイティブを経て、伊藤写真事務所設立。広告写真制作を主軸に、自主制作を継続的に発表している。主な写真展に「入り口」銀座ニコンサロン「雨が、アスファルト」エプサイト「隠れ里へ the invisible scene」RING CUBEがある。主な写真集に「入り口」「雨が、アスファルト」「ハレ」「電車カメラ」(ともにWALL刊)がある。今夏より「1:1」のタイトルで光の誘いをテーマに連続展を行なっている。
- 2017.09.19光遊カメラ vol.12 光の音
- 2017.01.10光遊カメラ vol.11 二つの光
- 2016.08.23光遊カメラ vol.10 30秒の呼吸。
- 2016.02.08光遊カメラ vol.9 撮る撮るの毎日。
- 2015.07.24光遊カメラ vol.8 あちこちと週一。
- 2015.02.27光遊カメラ vol.7 光色めく
- 2014.11.04光遊カメラ vol.6 色抜ける。
- 2014.06.30光遊カメラ vol.5 1:1フレームの光
- 2014.03.26光遊カメラ vol.4 光の知らせ。
- 2013.11.11光遊カメラ vol.3 気持ちも変える光
- 2013.10.04光遊カメラ vol.2 光の効能
- 2013.07.12光遊カメラ vol.1 光の記憶