- Photographer
伊藤之一
- 2013.10.04
この夏は随分と暑く、そしてまたあちこち人に光に誘われるままに出掛けた。
まずは札幌に、カメラの個人コレクターの方の所にお邪魔。札幌の爽やかなその気候はカメラの保存に本当に良いらしく、
幸せな保存を求めて全国からカメラが集結してくるとか。
蛍光灯下のカメラがオーナーの愛に守られて静かにたたずんでいる。丁寧に置かれているせいか冷たい感じがしない。
日本のカメラの歴史を一望する事が出来、満足。レボルビング式のレンズとテ匕ニカのカタログに特に反応。
静かな光の中で。
その翌週辺りに広島の家具のファクトリーにお邪魔。
こちらは家具を、その材料となる自然の光で銀化中の木材の上で撮影。気持ちのよい風がしばし夏の暑さを忘れさせてくれた。
ゆったりとした時間の流れと、満たされた光と木々の作る揺れ動く影の中で、作り手の気持ちが込められたこだわりの家具が出来上がっていく。
この山深きファクトリーからこの穏やかな気持ちよさを纏ったモノたちが広がっていくのだな~と。
モノの形の光を捉え続けて夏が終わり、名古屋にふらりと。
カメラ少年時代に通いつめた動植物園を訪問。
準備中の温室や主役のいない動物園の装置に、ただ茫洋とある緩やかな光を感じて時を忘れて撮影をする。
そこには次なる光景の登場を感じずにはいられない。お昼のサイレンでハッと我に返り気持ちの満足とともに、
お腹の満足を満たしに園を後にした。
伊藤之一 - Photographer
1966年愛知県生まれ。1991年日本大学芸術学部写真学科卒業 2000年博報堂フォトクリエイティブを経て、伊藤写真事務所設立。広告写真制作を主軸に、自主制作を継続的に発表している。主な写真展に「入り口」銀座ニコンサロン「雨が、アスファルト」エプサイト「隠れ里へ the invisible scene」RING CUBEがある。主な写真集に「入り口」「雨が、アスファルト」「ハレ」「電車カメラ」(ともにWALL刊)がある。今夏より「1:1」のタイトルで光の誘いをテーマに連続展を行なっている。
- 2017.09.19光遊カメラ vol.12 光の音
- 2017.01.10光遊カメラ vol.11 二つの光
- 2016.08.23光遊カメラ vol.10 30秒の呼吸。
- 2016.02.08光遊カメラ vol.9 撮る撮るの毎日。
- 2015.07.24光遊カメラ vol.8 あちこちと週一。
- 2015.02.27光遊カメラ vol.7 光色めく
- 2014.11.04光遊カメラ vol.6 色抜ける。
- 2014.06.30光遊カメラ vol.5 1:1フレームの光
- 2014.03.26光遊カメラ vol.4 光の知らせ。
- 2013.11.11光遊カメラ vol.3 気持ちも変える光
- 2013.10.04光遊カメラ vol.2 光の効能
- 2013.07.12光遊カメラ vol.1 光の記憶