- Photographer
伊藤之一
- 2015.07.24
早いもので7月も半分を過ぎ、今年はあちこち行くことも多く、その一つに金沢行きがありました。新幹線開通が嬉しく、穏やかな街並みが昨年訪れた時よりも数段身近に感じることができ、美術館にあたる光が美しく写真に残しました。出かける度、自分なりの光を残せればと思うのです。
この頃、日本を離れることもしばしばですが、今年4月より多摩美術大学にて非常勤講師の依頼を受け、週一で学生達との時間を持っています。バンタンで5年ほど教鞭をとりましたが10年ぶりです。
勿論写真の授業の担当な訳ですが、これがまた新鮮に写真に向き合うきっかけとなり、授業が終わると完全に燃え尽きてしまいます。
図書館通いも様になってまいりました。ありがたい新鮮な体験です。そんな訳で毎週水曜日は上野毛の校舎で熱弁? をふるっていますから、生活のリズムができ副産物的にありがたくも思っています。毎回生徒とのコミニュケーションの中で、それがスタジオでの実習や講評だったりする訳ですが、各々の写真像を持ってもらえたらと奮闘しています。
課題の一部にセルフポートレイトがあるのですが、肉眼で見ることのできないものの一つに自らの顔というものがあります。カメラを通じて外側しか映らない写真を持ち、いかに今の自分を表現するかに苦戦? したりしてもらっています。授業後に写真の面白さをグイグイと実感し始めた生徒の声を聞くと、声をからしつつ講義してと良かったと思ったりする訳です。。
実習の風景、さすが50名ほどのスタジオは喧々諤々、大笑いありと写真を体感してまずは写真の世界にようこそです。カメラの使用法も伝授します。
撮れば、当然講評を! なるほど自分はそうだったのかと気づいてもらえるよう、どうして撮ったの? なに感じたの? 本当なの? と問い詰めながら進めていきます。
なるほど! と気づいてくれた時、話ながら思わぬことに気づいたりと、充実の時間であり写真からその人の何かをすくい取る緊張の時間でもあります。
写真の仕上がりよりは、まずは写真の効能や楽しさを感じて欲しいのです。
そんなこんなで日々を過ごしていますが、これから本格的な夏に入り、日差しが強く今までにはない生命の豊さを感じる季節。いいものが残せればと日々汗だくで、1日の終わりに飲む仲間との一杯が本当に旨い。
伊藤之一 - Photographer
1966年愛知県生まれ。1991年日本大学芸術学部写真学科卒業 2000年博報堂フォトクリエイティブを経て、伊藤写真事務所設立。広告写真制作を主軸に、自主制作を継続的に発表している。主な写真展に「入り口」銀座ニコンサロン「雨が、アスファルト」エプサイト「隠れ里へ the invisible scene」RING CUBEがある。主な写真集に「入り口」「雨が、アスファルト」「ハレ」「電車カメラ」(ともにWALL刊)がある。今夏より「1:1」のタイトルで光の誘いをテーマに連続展を行なっている。
- 2017.09.19光遊カメラ vol.12 光の音
- 2017.01.10光遊カメラ vol.11 二つの光
- 2016.08.23光遊カメラ vol.10 30秒の呼吸。
- 2016.02.08光遊カメラ vol.9 撮る撮るの毎日。
- 2015.07.24光遊カメラ vol.8 あちこちと週一。
- 2015.02.27光遊カメラ vol.7 光色めく
- 2014.11.04光遊カメラ vol.6 色抜ける。
- 2014.06.30光遊カメラ vol.5 1:1フレームの光
- 2014.03.26光遊カメラ vol.4 光の知らせ。
- 2013.11.11光遊カメラ vol.3 気持ちも変える光
- 2013.10.04光遊カメラ vol.2 光の効能
- 2013.07.12光遊カメラ vol.1 光の記憶