今回からこちらのコラムを担当させていただくことになりました宇山涼子です。
よろしくお願いいたします。

ロンドンで自己紹介をするときに、真っ先に聞かれるのが「どこに住んでいるのか」という質問です。
住んでいる場所によってその人の生活、価値観、友好関係などの人となりを何となく探ることができるからです。

ロンドンは大きく4つのエリアに分かれます。
まず移民が多い南ロンドン。私はこの郊外に住んでいます。
それから中心街の北、高級住宅街の多い西、そしてアート、メディアの中心地、東ロンドンです。

東ロンドンはベルリンと並んでヨーロッパ最大のアートコミュニティーです。
元々はアジア系の移民が住んでいた地域ですが、いまや多くのフォトグラファーやアーティスト、メディア関係者が住んでいます。
ロンドンオリンピックもこの地区で開催されました。

おしゃれでアバンギャルドな雰囲気漂う東ロンドンに、このエリア限定の出版社、「Hoxton Mini Press」があります。
東ロンドンのことだけを扱った写真集や本を出している出版社です。

この出版社から出されているいくつか面白い写真集を紹介します。
「One Day Young In Hackney」は、東ロンドンのハックニーという地域で生まれて1日目の赤ちゃんとお母さんを撮った写真集です。
様々な年齢、人種、ライフスタイルのお母さんと赤ちゃんのポートレートを、彼らの自宅で撮影しています。

屋外の温水プールで撮られた「East London swimmers」。
洋服を着たポートレートと水着姿のポートレートの使用前/使用後の写真集です。
プールの前でポースを撮る人たちは、冬の寒い中ビキニで泳ぐ人、髭もじゃのおじさんなど色とりどりです。

一風変わったドキュメンタリー写真集「wild life in Shoreditch」。
wild lifeという英語は"野生"(にいる動物)という意味で使われます。
クラブや飲食店が密集するショーディッジというエリアで、ワイルドに暮らす人たちをユーモラスに撮った写真集です。

インターネットに押され、イギリスでも出版業界は財政的にはとても苦しいのが現実です。
Hoxton Mini Pressは、出版資金を集めるためにクラウドファンドというインターネット上の投資を利用しています。
投資と言っても1000円ほどから始められるものです。

Hoxton Mini Pressはキックスターターというアートプロジェクトを支援するサイトで投資をしてくれる人を募っています。

投資額に応じて、本や写真のプリントをプレゼントする(購入してもらう)という方法でお金を払った人もちゃんと見返りがあることが大きなポイントです。
https://www.kickstarter.com

地元愛にあふれたHoxton Mini Pressのような出版社は、地域色が強いロンドンならではです。

Hoxton Mini Pressの本はロンドンの本屋さん、ギャラリー、インターネットで注文ができます。
http://www.hoxtonminipress.com/collections/books

日本から東ロンドンの活気を感じることができますよ!