ロンドンでは近年、イギリス、ヨーロッパ、アメリカなどの西洋文化ではなくそれ以外の国への文化的な注目がとても高いです。アジア、中東、アフリカ、南アメリカなど多岐にわたります。

特に日本の写真への注目度は高く、日本の写真家の展示が大きな美術館で開かれたり、日本の写真集もたくさん売られています。
これは日本で写真をされている方に大きなチャンスです!

このすばらしいチャンスを活かさないのはもったいない! と思うので、今回は英語が話せなくても、外国に住んでいなくても、世界に挑戦できる公募について3回に分けてお話ししたいと思います。

まずは世界中で開催されているネット上で募集をかけている公募に作品を出してみることをお勧めします。公募は賞に入ることももちろんですが、世界の第一線で活躍する写真業界の人に自分の写真を見てもらうチャンスということです。ここから世界につながる架け橋をつなげることにつながっていくこともたくさんあります。

公募に応募する場合、いま手元にある写真を出すよりも新たに公募を意識したプロジェクトを撮影してみてはいかがでしょうか? でも公募を意識したプロジェクトってなに? と思われますよね。

1回目の今回は、公募で入賞している様々な作品をご紹介いたします。
これらの作品を見て公募を意識したプロジェクトのテーマ選びの参考にしていただければと思います。

★ドキュメントスタイル

"JoJo"by Cori Pepelnjak

このプロジェクトは一人の女の子をドキュメンタリースタイルで追ったもので、被写体と長い時間を一緒に過ごし、生活を撮影していくスタイルです。
これはフランスの"セーヌ左岸の恋"を撮ったエド•ヴァン•デル•エルスケン、また日本の荒木経惟氏の奥さんを撮影し続けた写真集などに通じるものがあるかと思います。物語や映画のシーンをつなぎ合わせたような詩的な雰囲気があります。日本の写真集もこの方法で子供やおばあちゃんを撮ったものがたくさんあります。


★セットアップスタイル

"Dreams of flying" by Jan Von Hollben

このプロジェクトはJan Von Hollbenが、子供を俯瞰で撮った写真のシリーズです。様々な写真の公募で入賞しただけでなく、自費で出版した本を完売するという偉業を成し遂げました。きっちりセットアップしすぎていない、一般の人をその人の生活圏内で撮影するというのも大きな特徴です。

このシリーズと似ている作品でDulce Pinzonの" The real life story of super hero" があります。
アメリカで働くメキシコ系の移民をスーパーヒーローに仕立て上げて撮影したユーモラスな作品です。カメラマンご本人も移民でユーモアの中にも現実の厳しさがにじみ出ています。


★スチルライフ

Sarah Palmer "As A Real House"

こちらはスチルライフというよりファインアートに近いアンニュイな雰囲気の作品です。
海外のスチルライフの写真はファインアートのようなもの、ライティングや視覚効果を多様に使った作品が多いように見受けられます。
厳密に写真と言えるのかわかりませんが、レントゲンを使って写真を撮っているNick Veaseyの作品などもあります。

これ以外にも多様なスタイルや作品があります。自分独自のプロジェクトを見つけ出してみてください。
次回は公募を意識したプロジェクトの計画についてお話ししていきます。