12月に入りロンドンはすっかりクリスマス一色です。ロンドンのメインストリートとも言えるリージェントストリートにも、クリスマスのデコレーションが飾られました。ここは12月になると、クリスマスギフトを求めて買い物客でより一層にぎわうようになります。

このデコーレーションと同じく、イギリスでもう一つクリスマスの恒例と言えば「John Lewisデパート」のテレビCMがあります。

John Lewisは日用品から高級ギフト、衣類、電化製品などの定番の商品を扱っています。価格も幅広く良質なものを売っていて、接客のサービスもいいのでイギリス人の生活に近いデパートと言えるかもしれません。

毎年、クリスマス前にはJohn LewisのテレビCMが話題になります。クオリティーの高さ、メッセージ性、物語性などショートフィルムを見ているような内容です。新聞やインターネットでも「いつ放送され始めるのか?」「どういった内容なのか?」「歌は誰が歌ったものなのか?」といった記事が出て、CMのためのティザー広告(期待を煽るための予告編)が出るほどです。

クリスマスはイギリス人にとって家族のためのものなので、子供から大人まで共感できるテーマを扱っています。ものを売るための広告というよりも企業イメージ広告ですが、そう言った広告の枠を超えて風物詩として認識されています。

2013年のCMはイギリス人の歌手リリー・アレンが歌を歌い、アニメーションと実写と融合させた作品です。リリー・アレンのミュージック・ビデオでCMのマイキングの様子を見ることができます。一コマ一コマを撮影して作る手の込んだ作業の苦労がわかります。

去年2015年のCMは孤独の老人という社会問題を扱いました。月のシーンはCGではなくセットです。圧巻!みんな号泣!

今年は例年よりも放送の始まりが少し遅かったためか、もう放送が始まっているのではないかと思った多くの人がインターネットで動画を検索しました。そこで話題になったのが、とある学生が作ったJohn LewisをイメージしたCMの動画です。

この17歳の学生は自分が勉強するメディアコースで広告を学んでいて、そのプロジェクトの一環としてJohn Lewisっぽい動画を作ることにしたそうです。それがあまりにもよくできていたので、見た人が本物のJohn Lewisの広告と勘違いをしてインターネットで広まりました。

学生のCM

本物の2016年クリスマスのCM

ちなみに偽広告を作った学生は大手の広告代理店から仕事のオファーを受け、この会社の中で一番若い正社員として働くことになったそうです。

今年ももうすぐ終わり。みなさま良いお年をお迎えください。