3月の終わりに冬時間から夏時間に変わったロンドンは、日が長くなり一気に春らしくなりました。イベントや展覧会、屋外でのフェスティバルなど盛りだくさんの楽しい季節に突入です。

この春は特に写真の展覧会が充実しています。5月の連休にロンドンに遊びに来る予定がある方に、是非訪れていただきたい展示を幾つかご紹介いたします。

『Strange and Familiar』 ストレンジ・アンド・ファミリア
6月19日まで、大人£12 、Barbican Centre バービカンセンターにて
住所: Silk St, London EC2Y 8DS

Henri Cartier-BressonカルティエブレッソンからGarry Winograndガリー・ウィノグランドなど海外のカメラマンがイギリスという国をどう捉えたかを集めた写真展です。ロンドン以外の地方、ウェールズ、スコットランドなど普段はあまり目に触れることのないイギリスも多く取り上げて、ドキュメンタリー要素の強い展示です。

Raymond Depardonというマグナム所属のフランス人カメラマンが撮影した80年代のスコットランドのグラスゴーの写真は、雑誌から依頼されて撮影したにもかかわらず出版されなかったものです。出版されなかった理由はその写真があまりにも残酷なほど厳しいものだったからということです。

一緒に鑑賞したイギリス人カメラマンの友人は、イギリス人の目線から気がつかなかったこと、または知らなかったことなど発見が多かったと言っていました。

展示会場のBarbican Centreは映画館、シアター、レストラン、植物園、住宅を兼ね揃えた集合施設。コンクリートの建築も迷路のようになっていて探検の価値ありです。


『Performing for the Camera』 パフォーミング・フォー・カメラ

6月12日まで、大人£16、Tate Modernテート・モダンにて
住所:Bankside, London SE1 9TG

サイモンベーカーという日本の写真にも詳しいテート・モダンの写真担当のキューレーターによる展示です。カメラとパフォーマンス、カメラの前に立つこと、カメラを意識したポートレートなど50以上のアーティストが集結しています。草間彌生、Cindy Shermanシンディー・シャーマンなど日本で人気の高いアーティストの作品も展示されています。

Tate Modernのオススメはテムズ川に面する2階にあるカフェです。大きな窓一面からテムズ川沿いの景色が見渡せるカウンター席はいつも人気です。もともとは発電所だったこの建物は、吹き抜けになっている1階スペースや長い廊下などダイナミックなレイアウトになっています。ショップも大変充実していてアート関係の書籍やTateオリジナル・グッズもあるのでお土産にピッタリです。


『The Deutsche Börse Photography Foundation Prize』

ドイツ・バーサ、フォトグラフィ・ファンデーション・プライズ
4月15日から7月3日、12:00PMまで無料、12:00PM以降 £3
Photographers Galleryフォトグラファーズ・ギャラリーにて
住所:16-18 Ramillies Street W1F 7LW

ドイツの金融会社が毎年開催する写真の賞の展示で、その年にヨーロッパで発表された作品に送られます。2012年には川内倫子さんの作品もノミネートされました。2016年度賞のノミネートされた4人の作品を展示していて、優勝者は6月2日に発表されます。

最近では東京の原美術館でもドイツ銀行の写真展がありましたが、ドイツをはじめヨーロッパでは銀行や企業が現代写真を多くコレクションしています。優勝者には3万ポンド(約460万円)が送られることからもわかるように、これらの企業は経済的サポートによっても写真を支える大事な役割を担っています。

またこの展示の面白いところは、カメラマンに対する賞ではなく開催された展覧会や作品に対しての賞なので、いっぺんに4つのギャラリーを訪れるようなお得感と、写真という枠にとらわれないアート作品が選ばれることです。

フォトグラファーズ・ギャラリーは写真集のコレクションが大変充実しています。プリントの販売や限定本など、ここでしか手に入らないものもあります。ワークショップや写真本のサイン会も多く開催されます。

ギャラリーの場所はロンドン最大のショッピング通りであるオックスフォードサーカスを一歩入ったところにあります。老舗デパートのリバティー、おしゃれなショッピング通りカーナビーストリートなども近くにあるのでお買い物のついでに寄ることができます。

これらの美術館、ギャラリーは年中、面白い展示をしています。この春、イギリスに来る予定がない方もいらした時には是非訪れてみてください!