1回目に引き続き世界の公募についてお話ししていきたいと思います。
2回目の今回は『公募を意識したプロジェクトの計画』についてです。
過去に自分のやったプロジェクトの例を交えてお話ししていきたいと思います。

①テーマを見つける

前回ご紹介した様々なプロジェクトは参考になりましたでしょうか?
興味があるテーマ、撮りたいイメージなど人それぞれのアプローチがあると思います。
自分の体験からヒントを得てもいいですし、好きなカメラマンや写真、映画や絵画も参考になります。

政治情勢などのドキュメンタリーに興味のある人は自分の身近な生活に置き換えたりして共感できる部分をピックアップしてみてください。
かっこいい、面白いというだけでなく『どうして自分がそれをかっこいいと思うのか?』を考えることでより明確なテーマが見えてくるはずです。

私は外国に住むということをテーマに考えていたところ"Nesting"という言葉に突き当たりました。
"Nesting"とは自分のすみかを作り上げるという意味があります。またロシアの人形のマトリーショカは英語で"Nesting" Dollsという別名があることを発見しました。

②アイディアをノートに取る

テーマや自分の主張、これを目指している、感じていることなど漠然とした考えを紙の上にまとめてみてください。
自分に対して説明がつく、人に説明ができるものにできればベストです。この作業でアイディアが固まりすぎてしまうのを避けたい場合は簡単なメモや箇条書き、雑誌や新聞記事の切り抜きなどでもいいと思います。

私の場合は絵を描いたり、ノートを取ったりして頭の中を整理しました。
何度も絵を描いたり、メモを取ったりを繰り返しました。"Nesting"という言葉をテーマに、4~5枚のシリーズ(組み写真)で撮影していくことにしました。


アイディア 1


アイディア 2


③実際にイメージを実現させるためのプラン

プロジェクトをきちんと終わらせるためにはお金のことを考えるのはとても大事なことだと思います。また一緒に協力してくれる人を見つけることも大切です。
撮影場所や機材、時間的なプランなど考えることは他にもたくさんあります。
ドキュメンタリースタイルで撮影する場合、細かいプランを立てるのはなかなか難しいですが、大まかにプランを立てて軸を作ってみてください。
撮影場所に前もって行ってみることも役に立ちます。

私はアイディアノートを見ながら細かい計画を立てました。
モデルになってくれる人、必要な小道具、撮影場所を見つけて、日程、撮影方法などをまとめていきました。


プラン 1


プラン 2


④撮影

アイディアに確実に沿って撮影する人もいれば、その場で面白いものを見つけて撮影する人もいると思います。
どういうスタイルであってもテーマの一貫性ということが大切になります。
いままでの準備段階があることで、何度もテーマについて考えてきているのでテーマがぶれないという強みがあるはずです。
撮影の間もノートを見返したりメモを取ったりするとよりはっきりと方向性が見えてきますよね。

私はノート通りに撮影を進めました。
雪の降る寒い日の撮影で、被写体にお水の中に潜ってもらうときは大変気を使いました。時間が節約できるよう前日からセットアップをしました。


撮影 1


撮影 2


撮影 3


⑤編集

じつはこの編集の作業はとても大切です。
公募では審査員に見せるのでメッセージが伝わっているかということが重要です。
写真を並べる順番、トリミング、色のトーンの統一などを通して撮影で感じた感覚を活かすことができます。
また自分が気に入っていても、テーマに沿わないフレームを削除することも必要です。なるべく多くの人に見せて意見を聞くことも大変役立ちます。

私の場合、ストーリーがわかる最低限の枚数を絞り込むのに悪戦苦闘しました。
公募によって応募できる枚数が違うので、それに合わせた枚数の調整を何度もする必要がありました。


編集


「公募を通して世界に挑戦」の次回は実際に応募できる公募についてお話しいたします。