浜昇写真展「VACANT LAND 1989」が、photographers' galleryで開催される。

紹介文
浜昇は、1989年の前後3年にわたり地上げや再開発などによって生じた東京の神田、四谷、新宿の「空地」を記録し、2007年に953枚の写真を収めた写真集『VACANT LAND 1989』(photographers' gallery)を刊行しました。この写真集は第20 回写真の会賞を受賞し、翌年には銀座ニコンサロンで同名の写真展を開催し好評を得ました。近年では、2017年さがみはら写真賞を受賞した写真集『沖縄という名』(「シマ それ自身の終わりなき時へ」「Positions 1969-1988」「かなたへの海」による全3 巻、ソリレス書店)を刊行するなど、精力的に活動を続けています。
本展はニコンサロンでの展示(2008年)の出品作を再構成するあらたな展覧となります。バブル崩壊後、約30年を経て今も残る953枚の写真。これは、ただの風景写真ではありません。

ステートメント
1989年は昭和天皇の逝去で始まり、天安門事件、美空ひばりの死去、そしてベルリンの壁が崩壊し、大納会で株価が史上最高値をつけて終えた。昭和の終わりはまた、歴史が「歴史の終わり」を迎えた年だった。
なんでこんな写真を撮っているのだろうか、ユーホリア(熱狂)の渦中にあって、やれることは、ただたんたんと写真を撮ることだけだった。あれから30年が経とうとしている。株や土地など資産の異常な価格がバブルを生み、誰もが浮かれた時代だったとは、たぶん敗戦後、なにもないところから身をおこし、生き抜いてきた人や仕事を継承しようとしていた人にとって、とどめを刺すことばであると思っている。バブルの崩壊が二度目の敗戦といわれる所以の一理でもある。
そしていま再びのバブルは、個人や企業の破綻ではない、国家の破たんという、日本がこれまで経験したことのない、新たな歴史の始まりをもたらすのかもしれない。写真になにが写っているのか。写真はなにを見せているのか。あらためて聞いてみたい。

浜 昇
1946年東京生まれ。早稲田大学卒業。1975年、ワークショップ東松照明教室に参加。1976年、ギャラリー「PUT」の設立。1987年、写真公園林を設立。「今日の写真・展77」、「ぬじゅんin沖縄・大和展」、「79-80写真はいま...展」、「琉球烈像―写真で見るオキナワ」、「写真0年 沖縄」、「沖縄という名」ほか個展・グループ展多数。
2007年、第20回写真の会賞受賞。2017年、さがみはら写真賞受賞。写真集に『フロムスクラッチ』(写真公園林、1990年)、『VACANT LAND 1989』(photographers' gallery、2007年)、『沖縄という名』(「シマ それ自身の終わりなき時へ」、「Positions 1969-1988」、「かなたへの海」による全3巻、ソリレス書店、2017年)

展示会風景


新宿2丁目


西神田


東神田


北新宿
 

展示会情報

photographers' gallery
http://pg-web.net

ギャラリー名
photographers' gallery
住所
東京都新宿区新宿2-16-11-401
サンフタミビル4F
開館時間
12:00〜20:00(会期中無休)
アクセス
東京メトロ 丸ノ内線 新宿三丁目駅 C7出口 徒歩3分