井上佐由紀写真展「私は初めて見た光を覚えていない」が、nap galleryで開催される。

ステートメント
祖父が寝たきりになり、亡くなるまでの2年間、その目をずっと撮っていた。
会話もできなくなっていく祖父との、私なりの対話の手段だった。
最期のほうは、いつ死んでもいいとつぶやき、解放されたように見える祖父の目は、
ただ光を映すだけの美しいものとなり、何も見ようとはしていなかった。
終わりに向かう祖父の目を見ながら、ふと初めて光を見る赤子の目を見たいと思うようになった。
それから私は20名以上の出産に立ち会い、赤子の目を撮り続けている。
生まれてすぐに目を開け、ほとんど光しか感じていないであろうその目は、
それでも必死に何かを見ようとしている。
覚えてはいないが、自分にも生きるためだけに目を開けた瞬間があったのだろう。

いつか何も見えなくなる時はくる。
その時がくるまで、私は今ある光を見たい。

井上佐由紀
1974年福岡県柳川市出身。東京都在住。
1993年九州産業大学芸術学部写真映像学科に入学。大学ではアメリカの現代写真の研究者として知られる故小久保彰氏に師事し写真史と写真表現を学ぶ。
コレクション
2016 サンフランシスコ近代美術館
2010 フランス国立図書館
 

展示会風景


 

展示会情報

nap gallery
http://napgallery.jp

ギャラリー名
nap gallery
住所
東京都千代田区外神田6-11-14
アーツ千代田3331 #206
開館時間
12:00〜18:30(木曜日)12:00〜21:00
月、火、祝日は休廊、日曜は予約のみ
アクセス
東京メトロ銀座線 末広町駅4番出口より徒歩1分