トミオ・セイケ写真展「Street Portraits: London Early 80s」が、ブリッツ・ギャラリーで開催される。

本作の一部は、1984年にツァイト・フォト・サロン(東京)で発表。今回は約34年ぶりの日本での公開となる。

紹介文
80年代の初頭、セイケはロンドンのストリートでファッションを通して自らのアイデンティティーを探し始めた若者たちに興味を持ちます。戦後から70年代後半くらいにかけて、英国を含む西洋先進国の個人は、かつての因習やタブー、家族や他人の期待から自由になります。常に階級と深く関連していたファッションも激変します。一般大衆向けの実用的な様々なストリート・ファッションが普及していきます。

しかし80年代前半は、まだ複数の価値基準が混在している状況でした。多くの人は何を着て、どのように暮らせばよいかの拠り所がなく、自らのスタイルを探し求めていました。この時代、ファッション写真も一般大衆のスタイル構築に重要な役割を果たすようになります。 セイケは、このような状況下でファッションに目覚めたロンドンの若者たちの姿を的確にドキュメントしています。彼らは、いままでのファッションのルールを無視して、いま流行りの服、古着、安物アクセサリー、小物などをごっちゃに取り入れます。いろいろな時代のファッションを組み合わせ、独自にコーディネートしているのです。彼らの洗練されたファッション・センスは現在でも十分に通用するでしょう。本作は、被写体のファッションと、その背景のストリートシーンを通して、80年代初めのロンドンの気分や雰囲気を私たちに伝えてくれます。これらは、時代性が反映された優れたドキュメントであるとともに、アート作品になりうる広義のファッション写真ともいえるでしょう。

本作は、ちょうどセイケが代表作「ザ・ポートレート・オブ・ゾイ」に取り組み始めた時期でもあります。セイケといえば、ライカ・カメラを使用していることで知られています。しかし、本作では、6X6cmのスクエア・フォーマットの2眼レフカメラ、ローライフレックスを使用しています。70年代後半から80年代にかけては、フリークスのドキュメントのダイアン・アーバスや有名人ポートレートのリチャード・アヴェドンのように、ローライフレックスでの作品制作がブームでした。キャリア初期のセイケも、様々なフォーマットのカメラを使用して、自らの作品スタイル構築を模索するとともに、様々な創作の可能性を探求していたことがわかります。本展では、セイケの初期作約22枚が展示されます。すべてが貴重な、撮影当時に制作されたゼラチン・シルバー・プリントとなります。

展示会風景


ⓒ Tomio Seike (写真全て)


展示会情報

ブリッツ・ギャラリー
http://www.blitz-gallery.com/

ギャラリー名
ブリッツ・ギャラリー
住所
東京都目黒区下目黒6-20-29
開館時間
13:00~19:00(月〜水休廊)
アクセス
JR目黒駅からバス、目黒消防署下車徒歩3分 / 東急東横線学芸大学下車徒歩15分