沈昭良(Chao-Liang SHEN)写真展「STAGE 舞台車」が、ギャラリー冬青で開催される。

ステートメント
夜の色がだんだんと低く垂れむにつれて、水田のさざ波に映る光と影が、夕暮れの色を吸い込み続け、ステージカーの豊満なきらびやかさをより強く映し出す。あれは、発射台の上で出発を待つスペースシャトルだろうか?真実と幻があべこべに置き換えられているのか?夢想と現実のあいだの距離か?それとも真夜中に夢から醒めながら放つ、単なる寝言なのか?シャッターを押すその瞬間まで、私はぼんやりとそんなことを考え続けていた。

紹介文
"台湾綜芸団" (Taiwanese Vaudeville Troupes)とは、いわゆる移動するショー劇団のことである。1970年代から台湾における冠婚祭の場で活躍しており、初期においては現在でも使用されている組立式特設ステージを使用していたが、改装トラックもあり、その後、照明と音響設備を備えたオープン式の"ステージカー"が出現した。そして、時代の進歩とともに、経営者や観衆の側から照明や音響設備に対する要求が高まり、今日のきらびやかな油圧電動式ステージカーに発展した。

このシリーズの作品は、4×5インチフィルムで撮影された。撮影対象は今日の台湾各地で使用されている、大型トラックを改装した移動式ステージである。この"ステージカー"、台数については正確な統計はないが、実際に営業中の台数は、台湾全土で600台を超えるものと推測されている。レンタカー方式が採用され、価格は車の大きさや新旧の程度によって異なる。貸し出す側は借り手の要求に応じて、指定された時間に指定場所まで車を運転して行き、引き渡す。

今回展示するSTAGEシリーズは、主に2006年から2014年までの間に撮影したものである。1994年に発明され、何度も研究と改良を繰り返し、今も台湾各地で綜芸団の公演の際に広く使われている。大型トラックを改造した油圧電動式のステージカーの姿は、現実環境の条件に従って発展してきたのである。独特の業態、濃厚な文化的息吹、きらびやかな色彩、童話のような舞台背景、そして自由奔放な発想。この"綜芸団"という台湾特有の産業は、時間と空間を超え、ある時は平面的に、またある時には立体的に、縦横無尽の展開を見せながら見る者の想像力をかきたて、観衆と一体化していく。

沈昭良
1968年 台湾台南生まれ。台湾芸術大学応用メディア芸術修士。自由時報写真カメラマン、副チーフカメラマン、中央大学客員芸術家を歴任、現在台北国際当代芸術博覧会(Young Art Taipei)においてPhoto Eyeの呼びかけ人を務める。1993年より、いくつかのテーマに絞りんで、被写体を追いかけてきた。2001年に初めての写真集《映像・南方澳》を発表。その豊かで繊細なドキュメンタリー写真のスタイル、写真集制作における謹厳な態度は、多くの同業者・専門家に高く評価されている。
2000年と2002年、2012年の三回にわたり、行政院新聞局雑誌写真部門金鼎賞を受賞。2004年にはさがみはら写真アジア賞、2006年に韓国の東江国際写真フェスティバル最優秀国外写真家賞、2010年に台北美術賞優秀賞、アメリカニューヨークのアーティスツ・ウォンテッドの2011年写真賞、2012年度アメリカIPA国際写真プロセクション・ドキュメンタリー写真部門グランプリ、2015年中国大理国際写真展最優秀出版賞、2015年には台湾の呉三連賞を受賞した。現在は、作品制作や評論・研究、依頼を受けてのワークショップ開催や展覧会企画を行うと同時に、台湾芸術大学の准教授も兼任している。
http://www.shenchaoliang.com

展示会風景


 

展示会情報

ギャラリー冬青
http://www.tosei-sha.jp

ギャラリー名
ギャラリー冬青
住所
東京都中野区中央5-18-20
開館時間
11:00~19:00(火・木・金・土)
14:00~21:00(水)
日曜・月曜・祝日休館
アクセス
JR中央線・総武線・地下鉄東西線中野駅南口より徒歩12分
地下鉄丸ノ内線新中野駅1番出口より徒歩6分