最後に書いたコラムから1年。随分間が空いてしまいました。1年という歳月は人生の中では小さく短い時間ですが、この1年を単体で見ると結構濃厚で、長い時間の空間にいる気がしませんか? そんな濃厚な小さな歳月の積み重ねが自分の人生と言うストーリーになって行くんだな〜と最近つくづく思います。

メイクアップアーティストと言う仕事に就いて、早17年になります。2001年にロンドンのメイクアップスクールに飛び込んで行ったその瞬間から今まで、変わらぬ情熱でこの仕事を続けられている自分は本当に幸せだなと思うと同時に、感謝で一杯です。

メイクアップアーティストは一人で成立する仕事ではありません。被写体がいて、フォトグラファーがいて、スタイリストやヘアさんがいるチームの一員です。今まで出逢ってきた数えきれない沢山の人達によって、メイクアップアーティストとして成長できました。

17年もやっていると色々な時代の変化も目の当たりにします。その時代の流れに逆らったり、寄り添ったり、脇道に逸れてみたり...。メイクと言う形もビューティーと言う概念も色々と変化していきます。

同じメイクという仕事でありながら、私の仕事も年々変わってきています。面白い事に、その時にやりたいな、こうありたいなと言う気持ちに正直に物事がついてきてくれること。駆け出しの頃は日々撮影現場に行くことだけが当たり前だったのが、今は撮影以外にトークイベントをしたり、コラムを書いたり、メイクブランドのプロデュースをさせて頂いたり、と多種多様。そんな変化を楽しめる素晴らしい職業だな〜〜と今更ながら感動(笑)!

メイクに対する向き合い方・被写体に向き合う姿勢も、随分変わりました。1つの点しか見えてなかった頃と比べると、今はその人全体を見ています。その人の顔、服装、性格、ライフスタイルまで全てをまとめあげて、その人ならではのビューティーを引き出したいと。

今は何でも便利で使い捨ての時代。1分1秒を争って瞬時に何でも情報が手に入ります。ゆっくりと時を刻む大切さだったり、「石の上にも3年」なんてことわざは軽視されがちな時代。1つの職業に居座る若者も年々減少しているらしく、いずれプロフェッショナルなんて言葉もなくなってしまうんじゃないかしら??と、ちょっと警戒してしまう世の中。

でも時を刻んで来た成長は、必ず自分をさらに高い新しい世界へと導いてくれる。自分の手で積んだ経験はまだ開かれていない新しい感覚を呼び起こしてくれる。自分はこれから先もずっとずっとメイクアップアーティストと呼ばれる職業にありたいと思っています。

今回でこの「SHOOTING」のコラムは卒業させて頂きますが、またこれからも色々な場面でビューティーを言葉にしていくことを続けて行きたいです!! 今までご愛読ありがとうございました♡