- 2015.11.06
PhotographerPhase One × ND CHOW
「デジタルカメラバックシステム」のトップクラスであるフェーズワン。
そのフェーズワンやIQシリーズのユーザーであり、第一線で活躍中のフォトグラファー5名に焦点を当てた「フェーズワン5」企画。
第3回目はアンディ チャオさん。化粧品メーカーのハイブランド広告から、女優の写真集まで、女性を美しく撮ることへの評価が高いフォトグラファーだ。
フィルム時代から中判カメラを愛用し、自身のフローをデジタル化して以降、「デジタルバックはフェーズワンだけを使っている」というアンディさんに、話を訊いた。
中判デジタルカメラを使い始めたきっかけから教えてください。
フジのGX645ボディに付けているフェーズワンP45+が最初で、今も使っているよ。
アンディ チャオさん。
それまでは、35デジタルだったのですか。
フィルムの中判カメラを使いながら、35デジタルに移行するというよりは、必要な時はフェーズワンをレンタルして使っていたね。
そういう意味では、フェーズワンP25が、最初に使ったカメラかも。他のデジタルバックは使ったことがないよ。
なぜP25からP45+にアップデートしたかといえば、一番の理由はスピードかな。デジタルカメラを使うようになって、僕の"シャッターを切るタイミング"が、だんだん速くなってきたんだ(笑)。
P25だと、自分のレリーズタイミングに追いつかなくなってきて、よくレンタルしていたイイノ(スタジオ)から「アンディさんならP45+がいいですよ」って勧められて...。
しばらくは、撮影がある時だけレンタルで使っていたのだけど、「やっぱりカメラは自分で持っていないとダメだ!」と思って、買いました(笑)。
思い返してみたら、35デジタルは買っていなくて、フィルムからいきなりフェーズワンなんだよね。それまでフィルムで仕事をしていたのが、"デジタルカメラを使うことが前提"な仕事があって、まだよくわかっていない部分があったから、撮影以外のフローはスタジオにまかせていた記憶がある。
デジタルカメラ指定で、いきなりフェーズワンを使ったんですね。
そう。その後もしばらくは、フィルムとデジタルバックを並行して使っていた。
フィルムの種類も徐々に減ってきていたし、デジタルのフローにも慣れてきたので、フェーズワンP45+を買って、その後にキヤノンEOS 5D Mark IIかな。それで本格的にデジタルカメラ中心のフローに一気にシフトした感じ。それが10年位前の話です。
ただカメラだけでは仕事にならないから、MacやCapture One、Photoshopも入れて、すごく勉強したね(笑)。
グラビア写真集や化粧品ブランドのビューティカット等、カメラはどのように選択していますか。
肌の質感をどうするのかと、目指しているものの雰囲気でカメラは変えます。写真集だと、撮影のテンポを考えたら、35デジタルが多いかな。
例えば、ハワイのホテルの部屋でモデルと二人きりで撮影するときに、フェーズワンをPCに繋いで撮るとかはあまりしないよね。
逆に広告撮影の時は、自然光であってもフェーズワンを使うね。最近の広告は、マルチ媒体で、1枚の写真が10枚のパターンになっていくじゃない(笑)。柱のデジタルサイネージとかは縦位置だし。背景も余裕が必要だから、トリミングを考えても、中判のクオリティは必要。
Webサイトでの"スペシャルコンテンツ"の場合は、思い切って寄れるけどね。
資生堂の場合は、汐留の巨大ビルボードとか、すごく大きいですよね。見せる大きさを想定して撮影を考えた時に、フェーズワンは"画の力"が強い。ディテールと質感は圧倒的。
そもそもフィルムは、8×10、4×5、6×9〜645、35とあったわけだから、デジタルになってもフィルムと同じ感覚で使い分けているよね。
高感度も使えるIQ250も使って頂きましたがどうですか。
IQ250は、CMOSセンサーだよね。テストシュートしたけど、自然光もいけるね。
顔や手にグッと寄って撮った写真がモニタに出た瞬間、メイクさんが「何、この質感!」って、すごく驚いてた。
日々、色々な撮影をしているメイクさんが、カメラの機種名聞いてきたからね(笑)。
薄暗い中で、しかも絞りも開放でやわらかい質感を目指したけど、やっぱりキレイなんですよ。違いがでる。質感にこだわりたい時、アンダーになった時のグラデーションにもムラが出ない。頭の中にあるイメージに近いものが再現できるのはいいね。しかも転送スピードが早くでパシパシ撮れる。仕事でも5000万画素くらいが、画質とその後のハンドリングを考えたらちょうどいいね。
中判デジタルも数種類ありますが、他のメーカーを使ったことはありますか。
使ったことないね。興味ない(笑)。
フェーズワンとCapture Oneで慣れているし、海外に行っても、どこでもレンタルできるからね。レンズは100mmと120mmを使うことが多いかな。
CL:SHISEIDO
ビューティの撮影も多いと思いますが、レタッチはどうしていますか。
レタッチは、仕事内容に合わせて自分でやったり、でもビューティの場合は、信頼しているレタッチャーさんへお願いしています。ベーシックなテクニックは必要だけど、一番重要なのは、センス。ただ、レタッチに大きく頼らないような撮影時の手法やデータコントロールがやっぱり要になってくるよね。
CL:SHISEIDO
女優さんを撮る時に意識していることはありますか。
撮影の時はよく喋るね(笑)。すごくよく喋る。口説いているくらいに(笑)。
自分が撮る写真が、最高にキレイに見えてほしいよね。やっぱり写真って、残るものじゃないですか。その時に「一番美しい」と思える瞬間を残したい。自分が「美しい」と思える女性像が写せたら幸せだね。
スタジオで作る面白さもあるけれど、広告でもロケにいけたらいいね。それが一番リアリティがあるから。スタジオで自然光も再現できるけど、太陽の光は気持ちいいからね。
シンガポールの展覧会でも発表したヌード作品(クリックすると拡大できます)。
広告でもグラビアでも「肌の質感」を大事にしているイメージが強いです。
肌(表現)は好きだね(笑)。質感表現が自分の中では第一優先。肌フェチだね(笑)。今はね、「汗」のシリーズをずっと撮ってるよ。その作品で、シンガポールで写真展をやりました。セミヌードまでしか出せないのだけど。
肌が輝いている時の質感、テンションが上がってくると、肌が艶っぽくなってくるのね。ビューティもそう。だんだん変わってくる。それを表現するのにベストなカメラを使うのは当然だし、「こうすれば、こうなる」ってわかってるから、フェーズワンはもう自分の"眼とか手"みたいに、一体になっている気がする。
だから、あまりカメラを買い換えないのかも(笑)。それよりも今の機材でもっと色々試して、個性を出したいと思う。
たまに、ミラーレスカメラをもらって使う時もあるよ。最新型のカメラを試すのも大事。でも趣味の範囲になっちゃう。
フェーズワンはやわらかい肌表現も得意(左)。
ウエスト左サイドのハイライトラインから手前にかけてのグラデーションでも濁りがなく美しい画像データが得られる(右)。
ミラーレスや35デジタルは、新しい機種がどんどん発売されますが、中判デジタルは、そんなにモデルチェンジもしないですね。
一番安定しているんじゃないですか。「撮影から取り込み、セレクト、レタッチ、フィニッシュまで」セットになっているから、コロコロ変える必然があまりない。
Macで確立しているフローも、WindowsやUNIXだとRAWの現像から変わってくるし、一つ変えるのも大変だよね。
あとフェーズワンで好きなのは、質感です。これに尽きる。自分で持っているから、「どの位までやわらかくできるのか」「どこまで硬くできるのか」、そういう実験的なことができる。
ストレートに撮ったまま使うのなら35デジタルでもいいけど、「ディテールの世界」をもう一歩追求していく、「光で遊ぶ」のなら、中判じゃないと限度がある。中判はそこが強い。
例えば、目だけにピントを合わせて、ふわっとぼかすでしょ。でも寄っていった時に、その周囲の質感もボケながら出ている。それがすごい。ものすごく硬い表現とか、どっちにも持っていける。その幅の広さがいいね。
「雰囲気」「世界観」は35デジタルで、「プロとしてマニアックに研究・追求していく」ならフェーズワンだね。
自分で所有していると、実験的なこともできますね。
そうそう。わざとものすごく暗いシチュエーションで撮って、それを思いっきりオーバーにしてみたらどこまで使えるのか、とか。
例えば金髪で、肌は白いモデルがいて、それを暗い部屋で撮る。その時に各色がちゃんと解像されていて、変なノイズが出ない。そのままCapture Oneでトーンカーブをかなり明るくしていっても「わぉ、キレイじゃない!」となる。暗いトーンのままでもいけるし、明るくもできる。「判断の選択肢」が増えるんだよね。その分、色々な世界観をつくれる。
あと、ライティングの技術も合わせれば表現の幅が広がる。メイクアップの人達も、「デジカメは硬い」というイメージを持っている人が多いから、やわらかい写真を見せてあげると、一緒になってノッてくれるね(笑)。
一番わかりやすいのは「和」のメイクをする時。どうやってやわらかくするか、どうやって質感を出すか、すごく実験できちゃう。そこを研究して、データを持っていることも、フォトグラファーとしての武器になるよね。
デジタルで撮影していても、「いい意味で裏切れるようなイメージ」を常に追求したい。自分が作りたいイメージを具現化するのに、フェーズワンなら応えてくれる。
自分でレタッチもするから、データの良し悪しとか、トーンの限界点とかもよくわかるよ。レタッチしていて「なるほどねっ」って思うこともある。日々研究だから(笑)。
デジタルバックは、35デジタルよりも価格は高いわけですが、そこはどう思いますか。
「どこを目指しているか」「何をしたいか」だと思う。高いカメラを買っても、使わなければ意味がないし、高いカメラが自分に合って使いこなせれば、最高じゃないですか。
安いデジカメもたくさんありますが、(その機材で)自分がこだわっている質感が出るのか、聞きたい。コンデジでもスマホでも撮れる時代に、それでいいかと言えば、そこに自分のフェチ感はないんじゃないですか。
僕の場合は、自分が求めるものをフェーズワンなら表現できるから、それが最高なんです。
PHASE ONE「XFカメラシステム」
新しいオートフォーカスプラットフォームを採用したPHASE ONE「XFカメラシステム」
問い合わせ先:株式会社DNPフォトイメージングジャパン
http://www.dnpphoto.jp/products/phaseone/
Phase One × ND CHOW Photographer
シンガポール生まれ。
世界を旅しながら2年間ドキュメンタリーを撮影後、2003年に独立。
日本をベースに広告、エディトリアル、音楽、写真集の分野で活動。また近年は、演出、撮影監督としても活動中。
http://www.ndchow.com/
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