まず、近藤さんの仕事について教えてください。

普段は、広告写真を撮っています。その中でも、料理とか、食品、飲料水メーカーのシズル撮影をメインにしています。
百貨店やスーパーの店頭でパッケージを一瞬見ただけで、数ある商品の中から自分が撮影した商品を手に取ってもらえるような「気になるシズル写真」を撮る、というのが仕事です。
そのため、パッと見た時の「インパクト」とか、「美味しそうな感じ」を意識して撮っています。

具体的にはどういう事なのでしょうか。

広告写真とエディトリアルでは、どちらを仕事の主とするかで少し分かれている所があります。
広告写真は、1枚絵で見せる事が多いわけです。1枚の写真の強さが求められる。その中で、「質感」「コントラスト」「ハイライト」、この3つが重要な要素になってきます。

シズルというと、水滴とかをイメージしがちですよね。食品の場合、食べ物の質感を重視したライティングをしないと、その場の光とかノリで撮ってしまうと、質感が出にくい。
例え自然光のみであっても、その食品の質感が出やすい場所にセッティングするとか、ライトを1灯入れるだけで、「グッと美味しそうな写真」になります。そこはいつも気をつけています。

シズル写真の場合は、視覚だけではなく、音や臭いを感じさせる事が重要です。 例えば今日の場合だったら、「肉がジュウジュウ焼けている音」が何となく想像できるとか。人間は、音や臭いの感覚を記憶の中に持っているので、頭の中にあるイメージを触発させる事で、「美味しそうな写真」に見えるのではないかと思います。

【撮影場所】

ロケ地は栃木県のカフェブロッサム。4000坪の敷地を有するカフェレストランで、建物は築30年のログハウス。
薪ストーブで作るローストビーフが有名。

それが店頭であれば、商品を手に取ってしまうとか、「美味しそうだな」と思って、その写真や説明をよく見てくれるとか。そういう「行動に移る」のでしょうね。見た人の五感を刺激できるのが、「いいシズル写真」と言えると思います。

僕も美味しいものを食べに行ったり、自分で作る事もあります。知識だけではなく、味覚的にも自分が知らないと美味しそうには撮れないと思いますから(笑)。
食べた記憶、経験があれば、「あの時、美味しかったので、ここを注意してこんな風に撮れば、美味しそうに撮れるかな」と、そういう組み立てができます。

プロフォトの新製品「B1」を使われてみていかがですか。

B1は、スピーディに撮れますね。TTLでもマニュアルでもすぐに光を当てられる。そのスピード感がいいです。
料理の撮影って、現場ではバタバタしているでしょ(笑)。
そういうバタバタした撮影をスムーズにこなす事ができるのがプロの証拠というか。もちろん写真の上がりが重要なのですが、B1は現場でのスムーズな撮影をさらに加速できるすごくいいアイテムだと思います。

ハンドリングがいいと何が変わりますか。

特にロケの場合、完成した料理だけでなく、プロセスカットを撮る事も多いんですね。調理をしているシーンや、手順カットもよく撮ります。それを現場のキッチン内でやらなければならない事もあります。ライティングの自由が利かないので、今までだとフラットな感じで、光をまわして撮る事が多かったんですね。
でも今回は、B1にディフューザーを付けて、アシスタントに手で持ってもらい、自由に光を当てる事で、適度にコントラストのあるいい写真が撮れたと思います。

  • 【パスタ料理】

  • 地灯り(右写真)だけでは、どうしてもフラットな写真になってしまう。
  • 限られたキッチンスペースの中で、手持ちでライティングができるのはかなり便利。
    ここではB1にちょうちんライトを付けて撮影。パスタに適度な陰影がついてツヤも出た。

パワー(光量)の面ではどうですか。

B1の素晴らしい点は、小型のバッテリータイプなのにフル出力が500Wsあることです。今はカメラが進化して感度も上げられるので、500Wsあれば充分絞りもきます。料理写真は、ガリピンで撮る事は少ないですから。

さらにチャージが速い。ムービーを見て頂ければ、そういうシーンも出て来るかと思いますが、特にシズル。液体を注いでいるシーン、フライパンで調理しているシーンなどは、連写で「パパパッ」と撮りたいのですが、ちゃんとシャッターについてきていてビックリしました。チャージが追いついてくれるので、バッテリータイプのストロボなのに、充分現場で使えるんだなと驚きました。

アタッチメントが使える事で何か変わりますか。

例えば、グリッドがワンタッチではめられるのは、使い勝手が良かったし、粗め、細か目と揃っているのがいいですね。

食品関係の撮影は比較的寄りのシーンが多いので、そんなに大光量は必要ないんですね。それよりも、グリッドで集光したり、手元でコントラストをつけるような撮影にはアタッチメントが重宝します。

  • 発光部にグリッドを装着することで、集光・拡散度合いを変えられる。

TTLも使われていましたが、そちらはどうですか。

TTLはプロセスカットを撮る時に重宝します。途中でアングルを変えたり、撮っている最中に人が動いて影になっても、露出をコントロールしてくれるので、そこはすごくいいと思います。
誰でも適正露出では撮れるので、プロじゃなくてもいい写真が生まれるんじゃないかな。

料理を作っている場所は狭い空間の場合が多く、限られたスペースの中で、ライトを組んでスタンドを立てると、自由が利かないんですよね(笑)。
「もう少しだけライトを動かしたいのだけど、スタンドに付けているから入らない」とか...。それが手持ちで、色々な角度から光が入れられるので、いい光を見つけやすいし、露出よりもアングルとシャッタータイミングに集中できるのがありがたいです。

ワイヤレスでコントロールできるのはどうですか。

Airリモートを使うことで、撮影現場がスムーズになりますね。シンクロケーブルが繋がっているだけで、気を配らなければならない事が増えます。

コードがなければスマートな現場になるし、料理の現場では、床が濡れている場合もあるので、コードや本体が地面につかないのは衛生的であり、安全でもあります。 出力をカメラ側からコントロールできるので、僕みたいにカメラの液晶を見ながらスピーディに露出を変えたい人には、撮りながらパワー調整できるのは便利だし、早いです。

今回「アウトドアクッキングの撮影」を実際の店舗を使って行ないましたが、B1の自由度はかなり魅力的ですか。

B1はロケ撮影には最適ですね。使ってみて実感しました。
早く仕事の現場で実践導入したいです。通販番組のセリフみたいですが本当です(笑)。

B1を使うと、今まで自然光だけで撮っていた写真がすごく変わります。
光を作る事は、本当に楽しいです。それがワイヤレスで、TTLで、スイッチを入れたらすぐに光ってくれて使える。
プロみたいにライティングに慣れていない人でも、面白い写真が撮れたり、今までにない写真が撮れたりするので、アマチュアの方もぜひ「ひと味違うシズル写真」にトライして頂きたいです。

僕らはライティングをする事をビジネスにしているので、出来て当たり前なのですが、やっぱり「経験」が重要なんですね。 「この角度から光を当てたら、こんな風にハイライトが当たって美味しそうに見える」、とか。その経験をどれだけ積むかがすごく重要です。それがB1だったら手軽に出来るし、デジカメだからすぐに確認して判断できます。
ライティングの勉強にもなるし、何より楽しいです。プロはもちろんですが、これから写真が上手くなりたい人にも、いいツールだと思います。






メイキング

  • 【コーヒーの抽出】

  • オープンテラスでコーヒー豆にお湯を注ぐシーンから撮影。
    事前に近藤さんがシャッターを切りながら、光の位置やアングルを決め、本番はそのままアシスタントがB1を手持ちで照射。
  • 【ローストビーフのシズル】

  • ストロボを使わず地灯りだけで撮影すると、雰囲気は出るが全体がアンバーになり肉の質感が出ない。
  • B1の発光部にグリッドを付け、照射範囲を狭めて両サイドから直射。炎に照らされた肉の質感を出す。
    カメラに付けたAirリモートで、2灯の出力を調整しながら撮影。
  • 【ローストビーフのカッティング】
  • カフェブロッサムのオーナーである相場勝夫さんがローストビーフをカッティングするシーン。
    LEDのモデリングランプをつけてライトの位置をさぐる。寄りと引きで、ライトのアタッチメントを替えて撮影。
  • 【完全屋外での調理風景】

  • アウトドアクッキングを感じさせる焚き火を使った屋外での料理写真。B1には粗めのグリッドを装着。
    夕暮れの光や芝生のニュアンスも感じさせつつ、料理にはしっかりと光を当てている。「グツグツ」「ジュワッ」と言った音が聞こえてきそう。
 

B1 500 Air TTL





●主な特長
・特許申請中の新機能AirTTLにより自動調光可能。
・1回のフル充電で、フル出力での最大220フラッシュの発光可能である、着脱可能、内蔵型バッテリー。
・コードレスでワイヤレスAirシステム搭載によって、ケーブルの長さに制約されず撮影可能。
・最大20フラッシュ/秒の連続発光可能であるQuick Burstモード。
・9 f-stop (2-500Ws)の出力レンジ間で、0.1 f-stopステップでのファインチューニング可能。
・プロフォトの幅広いラインアップのライトシェーピングツールを取付け可能。