- 2017.08.28
Photographer「The Professional Voice」vol.1 池之平昌信
東芝の高性能なメモリカード「EXCERIA PRO」。
その魅力を様々なジャンルのフォトグラファーが伝える「EXCERIA Ambassador」へのインタビューシリーズがスタートします。
レースなどのモータースポーツや、自動車、バイク雑誌で活動中の池之平昌信さん。
過酷な状況の中でも確実に被写体をとらえ、ベストなシャッターチャンスをものにするため、
池之平さんは、高性能なメモリカード「EXCERIA PRO」を使用している。
今回、オフロードバイクのプラクティス撮影に同行し、池之平さんの撮影スタイルを取材。
「ルーツはスーパーカーブーム」という池之平さんの人となりから撮影スタイルまで、インタビューした。
Interview:坂田大作(SHOOTING編集長)協力:ウエストポイント・オフロードヴィレッジ ライダー:山田崇弘
写真に興味を持ったきっかけから教えてください。
原点は何かと言うと、1970年代後半の「スーパーカーブーム」です。当時小学生だった僕は、コンパクトカメラを持って、スーパーカーショーを撮りに行ったり、街で外車を見かけると、追いかけて撮っていたのが最初ですね。
最近「車が好きなのか、レースなのか、カメラですか?」と質問されることがありますが、考えてみると車への興味が先だったと思います。
池之平昌信さん
東京工芸短大の写真学科に入られていますが、本格的に勉強しようと思われたのはいつ頃ですか。
スーパーカーブームの後は、特にカメラに興味もなく、普通に野球とかスポーツ好きな少年でした。通っていた高校に天文学部の写真暗室があったんですね。そこに悪友が所属していて「暇だったら遊びに来いよ」と誘われたんです。
本来は「星の写真」を撮って記録するクラブですが、悪友は人気の女の子や友達の写真を撮って、それをプリントしていたんです。暗室って、専門の人しか簡単に立ち入れない空気があるじゃないですか、先生も入ってこられないとか...。そういうダークルームの世界に取り憑かれたのかもしれない(笑)。
それで写真に興味を持ち始め、自分もカメラを買い、カメラ誌やカタログを読み漁り、カメラ屋さんに通ったり、急激に自分のやりたいことが見えてきた時期です。地元の鹿児島には写真学校はなく、全国的にも写真を学べる学校の選択肢はまだ少なかったので、その中で東京の工芸大に入りました。
当時はフォトグラファーになるつもりもなかったですね。鹿児島で「フォトグラファーになる」と言ったら、「歌手になる」のと同義です(笑)。現実問題として、フィルム現像やプリントの技術を学び、鹿児島に戻って就職するつもりでした。
当時はフィルム代、現像、印画紙等、経費もかかりました。
そうなんです。だから学生向けの「撮影アルバイト」があって、学校の遠足に同行するとか、卒業式は3月に集中していてフォトグラファーが足りないので、その時期は学生を雇うところもありました。普通のアルバイトよりも時給もいいですしね。「あれっ? これはもうフリーランスじゃないか」って、勘違いしたんです(笑)。
もともと車が好きでしたから、富士スピードウェイとか筑波サーキットにも、レースカーを撮りに行っていました。当時、工芸大の先生で、週末はレースの撮影をされている方がいて、いつの間にかその先生と一緒に、レース場へ頻繁に通うようになりました。後は酒屋の配達とか夜は現像所でプリントのアルバイトとか...。「CAPA」編集部でもプリントのバイトをしていました。
時期的にもう卒業前だったので、自分でも鈴鹿サーキットへ行ったり、一人でオーストラリアにF1を撮りに行ったりしていましたね。
その頃、世の中がバブル景気になって「F1ブーム」もありました。アイルトン・セナやアラン・プロストの時代です。モータースポーツ専門のフォトエージェンシーの求人が学校に来て、「一人だけレース写真にはまっている生徒がいる」と、先生が僕を紹介してくれたんです。
そのエージェンシーへ面接に行かれたのですか。
行きました。そしたら「○月○日から1週間ほど空いてますか?」っていきなり聞かれて、「空いてます!」と答えたら、「テストしますからイタリアにひとりできてください」と言われ...。行きました。「試用期間のアルバイトがイタリアですよ!(笑)」
まずちゃんとイタリアまで来られるのか、レース撮影の助手が務まるのか、そういうテストだったんですね。イタリアではF1関係の撮影絡みでしたが、面接や実地試験?が無事終わり、4月からそこへ就職しました。
最初は東京の事務所で写真整理かなと思っていたら、「ヨーロッパに来てください!」ということで、卒業後の5月位から、いきなりヨーロッパのF1サーキットをその年の秋まで回っていました(笑)。
Works(池之平さんの仕事より)
まさに即戦力だったのですね。
人手不足というか、景気が良かったというか...。3年後に独立しましたが、それが1991年頃でバブルがはじけつつある時期です。それでも91〜96年までは、F1 16、17戦をすべて回って撮影していました。
当時はポジフィルムでしたが、海外の現像所の品質が安定しなくて、予選を撮影したら未現像のフィルムを、先に帰国する記者に託し、日本で現像をお願いすることもありました。
当時はコダクロームも使っていたので、やむを得ず欧州で現像をする場合は、パリ、マルセイユ、ローザンヌ、ロンドン、フランクフルト、この5都市でしか現像ができなかったので苦労しました。
コダクロームではなく、エクタやフジクロームでもよかったのでは。
僕たちの仕事は35mmフィルムじゃないと撮れないわけです。報道として撮っているわけですが、もしかしたらポスターになる可能性もあるわけで、色と粒状性でコダクロームも使っていたんです。その後、徐々にベルビア、プロビアへ移行していきましたが...。
そもそも僕の卒論テーマが「小型フィルムでいかに高画質なプリントを作るか」でしたから。レースで大判カメラは無理ですからね。
モータースポーツの撮影でも「画質に妥協をしたくなかった」ということですね。
そうですね。だから今は夢のようです(笑)。
デジタルカメラを導入されたのはいつ頃からですか。
2000年頃からです。初めて買ったのは「ニコンD1」です。まだパソコンも持っていないのに、デジカメで仕事をしていたという...(笑)。当初はメモリカードごと編集部に渡していました。いきなりデジに切り替えるわけではなく、フィルムのF5とD1を仕事に応じて、平行して使っていました。当時はデジタルデータの色が安定しなくて、編集部や印刷会社含め試行錯誤しながら使っていました。
ジャンプのポイントを狙って、ベストポジションで撮影する池之平さん。
(許可を得てコース内で撮影しています)。
デジタル撮影について、池之平さんのワークフローを教えてください。
モータースポーツは、ほぼ35mmのカメラしか使いません。だからこそカメラの性能を引き出すのが重要だと思っています。雑誌や新聞だから「軽めのJPEGでいいじゃん」というのではなく、レースの場合は特に、後々歴史的な意味をもつケースもあるので、できるだけ最高画質で撮りたいんです。
なるべくハイスペックなカメラを使い、高画質で記録されるんですね。
そうです。報道でも「クオリティには妥協したくない」というのが僕の考え方です。そのため記録方式は「RAW+JPEG」を、ダブルスロットの2枚に同時記録します。一番重たいデータを記録させています。
「広告に使われる」「雑誌のカバーに使われるかも」という事もありますが、報道の仕事でもトリミングする可能性もありますので、最高画質にはこだわっています。
500mmの超望遠レンズで近づいてくるライダーを撮影。
川越のオフロードコースで取材させて頂きました。撮影の際は長いと2〜3秒間ずっとシャッターを押しっぱなしにされていましたが、こういった撮り方だと、メモリカードへの書き込み速度は重要ですね。
ニコンD1やD2を使っていた頃から比べると、夢のようです(笑)。カメラのバッファーにも関係してくるとは思いますが、画素数も増えているのにEXCERIA PROへの書き込みはスムーズです。現状ストレスなく撮影できています。
レースで何台も続けて車やバイクが来た場合、もし記録待ちでシャッターが切れないと、まさに「弾切れ」の状態になります。僕らはそれが一番困るんです。あとレンズ交換の時間とかね。
プロは「撮れなかった」ではすまない。そのため本番ではカメラも2台持ちしますし、とにかく「シャッターチャンスを逃さない」ことが重要。このカードにしてからは、撮影に集中できています。
本番レースではないためバイクのすぐ横で連写する池之平さん。
(許可を得て撮影しています)
オフロードの現場では土埃もすごかったです。あの状況でレンズ交換は、かなりリスクがあるなと思いました。
そういう意味では、カードチェンジをなるべく現場でしなくて済むように、僕の場合は64GBのカードを2枚使っています。
僕らが機材を作れるわけではないので、カメラもメモリカードも、現状で最高品質のものを使いたいんです。例えば、10枚連写できていたものが12枚撮れると、その「プラス2枚」に今までないカットが撮れる可能性が高まるわけです。そのために常に新しい機材へ投資するようにしています。
なるべく現場でカードの抜き差しをしないために、64GB EXCERIA PROを2枚使用している。
レースにも長さがあると思いますが、32GB、64GBは多いですか、少ないですか。
そのくらいは、1日で使ってしまいますね。最長は24時間レースもありますからね(笑)。カード容量は大きいに越したことはありません。
主催者の仕事とか、オフィシャルカメラマンになると「とにかく全部撮ってください」という話になります。スタートして、ライダー全員が次の周に戻ってくるとは限らないんですよ(笑)。転んだり、マシントラブルとか...。
F1も「エンジンストールでスタートできません」「1コーナーでクラッシュ」等、あるわけです。「スタートできなかったからこの車の写真はありません」では済まないので、予選や練習走行の時からきっちり撮影しているんです。
納品後のカード内データはどのようにされていますか。
基本的には2枚のカードに「JPEGとRAW」データを同時記録します。そうすることで、必然的にまず同じ内容のカードが2枚できて、バックアップになります。
撮影後にそのデータをPCにバックアップすることで、3箇所に同じデータを保存することになります。納品完了後は、HDDにのみデータを残して、カードはローテーションをしながら使っています。
モータースポーツの撮影は、気象条件や撮影場所等、色々過酷な面もあります。
プロとして機材選びは重要なんだと感じました。
信頼性って一番大事です。僕はカメラでもPCでも調子が悪い機械(ハード)は許せないんです。トラブルは避けたいですから。
アマチュアの方は「プロが使っている製品や機材を使いたい」「プロ向けなら間違いない」と判断して購入される方は多いと思います。ポルシェやフェラーリはなかなか買えませんが(笑)、カメラや周辺機器は、車と違ってプロと同じものが買えますからね。
メモリカードを使用するにあたり、重視している点はなんですか。
シンプルに言うと、書き込みスピードと信頼性です。
メモリカードを使用する際、気をつけている点はありますか。
カードスロットへの抜き差しは慎重にしています。それ以外は、あまり意識していません。間違えてフォーマットなどしないようにとか(笑)。
メモリカードに求めるものはなんでしょうか。
スピード、信頼性、大容量。これにつきます。東芝の「EXCERIA PRO」は、日本製であることが絶大な安心感に繋がっています。今までトラブルは皆無。記録スピードも体感的にはスペック以上の速さが出ている気がします。EXCERIA PROにすることで安心して撮影できるなら、メモリカードへの投資は安いものだと思います。
今後の活動、やってみたいことを教えてください。
モータースポーツの発展を願っていますし、レース場に足を運んで欲しいです。僕個人は「流し撮り」を通して、写真や撮影の面白さを広めていきたいです。
メーカーの写真教室では「GT、GS」という話をします。これは「ガンガン撮って、ガンガン消去」という意味です(笑)。今はいくらでも撮れる時代だし、たくさん撮ってどんどん消せばいい。そのためにも信頼性の高い高品質なメモリカードを使うべきです。毎日シャッターを切っている人は、うまくなりますよ。
東芝「EXCERIA PRO」シリーズ
高速連写・4K動画撮影対応のプロ仕様メモリカード
SDメモリカード:製品情報
http://www.toshiba-personalstorage.net/product/sd/sdxuc/index_j.htm
CompactFlash®メモリカード:製品情報
http://www.toshiba-personalstorage.net/product/cf/cfax/index_j.htm
「The Professional Voice」vol.1 池之平昌信 Photographer
1966年鹿児島生まれ。東京工芸大学短期大学部 写真技術科卒。在学中より国内のスポーツ、レースを、1987年からF-1GPの撮影を開始。世界20カ国以上、約50カ所のサーキットなどへ赴き約300以上のレース、ラリー等の国際イベントを取材・撮影。国内外のレース専門誌、自動車雑誌、一般誌、新聞、カメラ雑誌などへの寄稿多数。公益社団法人・日本写真家協会(JPS)会員。日本流し撮り研究所・代表。
http://ikenohira.com/index.html
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