- 2017.09.11
Photographer「The Professional Voice」vol.2 安澤剛直
東芝の高性能なメモリカード「EXCERIA PRO」。
その魅力を様々なジャンルのフォトグラファーが伝える「EXCERIA Ambassador」へのインタビューシリーズです。
ウエディングは新郎新婦や家族、友人にとって生涯の思い出に残る行事。
フォーマット化された写真ではなく、新郎新婦とコミュニケーションをとりながら
最高の「ウエディングフォト」を目指して活動をしているのが安澤剛直さん。
今回、富岡八幡宮での結婚式の撮影に同行し、安澤さんの撮影スタイルを取材。
「ウエディングフォト業界全体のレベルを上げたい」と活動している安澤さんにインタビューした。
Interview:坂田大作(SHOOTING編集長)
安澤さんのお父さまが写真館を営業されているんですね。小さい頃から写真に興味がありましたか。
興味というよりも、親の仕事柄、小学生の頃からお店番をしたり、量販店に買い物に行かされたり、フィルムの現像を電車に乗ってプロラボに出しに行ったり、家の仕事の手伝いを自然としていました。
安澤剛直さん。
日本写真芸術専門学校へ入学した時は、写真の道へ進もうと決めていたのですか。
当時、好きだった女の子に振られて「見返してやりたい!」って、思ったんです(笑)。「どうしたら有名になれるのか」を考えて、フォトグラファーの道を志しました。
写真以外の道へ進む可能性はあったのですか。
大学は、剣道のスポーツ推薦で行っていたので、このまま進むと、警察官、刑務官、市役所の三択しかなくて、自分にとってはどれもちょっとピンと来なかったんですね。
4年生が先に働いている先輩たちに声をかけられて就職をしていくのを見て、自分の将来が見えてしまったというか...。
東芝「EXCERIA PRO」のCFカード(左)とSDメモリカード。
写真学校時代はどうでしたか。
学校で刺激を受けたというのはあまり記憶になくて、逆に1年生の授業を受けていて、このままあと1年学んで「卒業して本当に仕事ができるのか」という点で、すこし不安を覚えました。
2年生の時にはあまり学校へ行かなくなり...。学生のアルバイトとして、スタジオアシスタントを募集している会社があったんです。そこのスタジオへ行って、学生ながら撮影アシスタントのバイトを始めました。
スタジオアシスタントが午前中だけスタジオに入って「午後から授業があるので帰ります!」とか、今ではあり得ないですね(笑)。先輩アシスタントを残して帰っていた、大らかな時代でした。
最近の仕事から。
学生時代に撮影スタジオで実際の仕事も経験し始めたわけですね。
そうですね。2年生の時はゼミの授業しか出ていなかった気がします(笑)。その分、実際のスタジオで機材の名前や使い方は覚えますし、傘トレや提灯の作り方とか、そういう実践的な部分は学べていました。
卒業してHPC(博報堂フォトクリエイティブ 現:博報堂プロダクツ)に就職した時も、入社前からアルバイトをさせてもらっていました。そこそこ動けたので(笑)、当時江面俊夫さんというトップのフォトグラファーからセカンド(アシスタント)として指名して頂き、色々経験を積ませてもらいました。
博報堂プロダクツは広告の撮影が多いですね。
そうですね。見ていてもわからないことも沢山ありました。その頃はストロボ20灯使って撮影したり、自分ではできない規模感の仕事を経験させて頂きました。
ストロボを使ってジャンプした瞬間を止める。
広告写真の仕事からウエディングフォトに重点を置き始めたきっかけを教えてください。
26歳の頃、一時実家の写真館で仕事をしていた時、「給料は10万円しか出さないから、後は自分で稼げ」って言われて始めたのが、ウエディングのスナップフォトでした。 アシスタントの時期が長かったので、自分でシャッターを切れることだけで楽しかったんです。埼玉のホテルの写真館で契約フォトグラファーをしていたのですが、なかなか給料も上がらず、一緒にやっていた女性フォトグラファーが「本当は広告や雑誌の仕事がしたい。仕方なくウエディングを撮っている」と聞いた瞬間、「自分の結婚式を、君のような気持ちの人に撮られたくない」って思ったのが、ウエディングフォトを本気でやるきっかけになりました。
ウエディングフォトというと、撮影ポイントがフォーマット化されていて、アルバムに入れていく写真のシーンやシチュエーションが決まっている気がします。
そうなんです! 毎回同じ場所に行って、同じような写真を撮っていること、当日会ったばかりの人を撮ることに限界も感じていました。撮影後に「この人をもっと綺麗に撮れたんじゃないか」という思いが、日々の仕事の中で積み重なっていました。
平行して広告写真の仕事もしていたので、ウエディングの下請け的な仕事は一度全部お断りして、結婚式の司会をしていた知人の事務所にデスクを置かせてもらい、事前に打ち合わせをするような、しっかりしたウエディングフォトの仕事をし始めました。
そうすると、お客さんから「写真写りに自信がない」「カメラを向けられると緊張する」といった話も出てきます。「じゃあマンションの庭で少し撮ってみましょうか」という感じでスタートし、それが現在の「私服のエンゲージメントフォト」というスタイルの元になっています。
前泊のお客さんであれば、式前日に伺って夜に少し写真を撮ったり...。「写真を撮る前までのコミュニケーションが、写真のクオリティに大きく影響する」ということを経験していきました。
丸の内のイルミネーションを背景に撮影。
2012年「一般社団法人日本ウエディングフォトグラファーズ協会」を設立されています。
結婚式の撮影は、基本的には式場やホテルで内製化されていたり、契約フォトグラファーがいます。外注するというのは、「予算がなくて安く済ませたいから」という消極的な理由がほとんどでした。
協会の前身で、ウエディングフォトグラファーが集まっている会がありまして、「ウエディングフォトの業界を変えていきたい」と考えた時、同じような志を持っている人たちがサポートしてくれるなら、ということで社団法人を設立しました。
富岡八幡宮での挙式より。
撮影をデジタル化したのはいつ頃からですか。
親のスタジオを出て、独立した時からデジタルカメラを導入しました。フィルムはニコンでしたが、デジカメはCanon EOS 5DとサブでEOS D30、レンズは24-105mm、50mmの2本で仕事をし始めました。
フォトグラファー仲間に色々聞いたら「リスクを分散した方がよい」という風潮があったので、1日の中で前半と後半にメモリカードを分けて撮影していました。結果的には、データが消えてしまったとか、僕の場合は撮影後にそういったトラブルはありません。
現在はどの位の容量のカードを主に使われていますか。
今はEXCERIA PROの64GBを常用しています。ウエディングの仕事でも1日分丸々記録できるので途中で入れ替えることはめったにないですね。
1日ごとにカードを入れ替えるのですか。
僕の場合は、1案件ごとにしています。前撮りがある場合は、前撮りから式当日まで1組ごとにカードを使い分けています。1日に2件ある時は、2枚使います。
現在のメインカメラが1DXなので、64GBのEXCERIA PROを2枚入れて、1枚はRAWデータ、もう1枚はJPEGを同時記録しています。JPEGは一応、バックアップ用にしています。こちらは1カットの容量が小さいので、カードが一杯になるまで使います。
バックアップですね。PCやHDDにはデータは保管されますか。
撮影現場でメモリカードを出してコピーをとることはないですね。事務所に戻ってから、カードリーダーでPCにコピーします。そこから写真をセレクト後、作業用PC(サブ)にコピーしてから、レタッチ等の作業を行います。
EXCERFIA PROに通し番のシールを貼って使用。
RAWとJPEGを2枚のメモリカードに分けて同時記録している。
メモリカードの中のデータは、消去やフォーマットを何時されるのですか。
僕の場合は、使う必要がある時にフォーマットしています。今、6枚の64GBで仕事をしていますが、それが一巡するまでは、前に撮影したデータがそのまま残っている状態です。
キヤノン1DXは、CFカードのデュアルスロットなので、1枚はRAW、1枚はJPEGで記録します。先ほど話しましたがJPEGは万が一のバックアップ用なので、どんどん溜めていって一杯になったら消します。
RAWとJPEGの同時記録をされているわけですが、EXCERIA PROの書き込みスピードはどんな印象ですか。
今まで仕事で使っていて書き込みに手間取るとか、保存中に固まるとか、そういったトラブルはないですね。
EXCERIAのアンバサダーをさせて頂くにあたって、メモリカードへの意識が以前とは変わってきました。他社製品を含め、記録容量や書き込み、読み出し速度等、どうしてもスペックに意識がいきがちですよね。それも大事ですが、EXCERIA PROは、国産メーカーとして厳しい審査基準を設定されているということで、プロには心強いです。
軽自動車と2000ccセダンと、スポーツカーでは同じ100kmで走っていても余裕が違いますよね。僕の仕事では、報道写真のような連写はしませんが、メモリカードのことを気にせず「新郎新婦のハレの日に、良い写真を撮ること」だけに集中できるのはありがたいです。
富岡八幡宮での挙式を撮影。
富岡八幡宮での挙式は厳かな雰囲気でした。撮影で気をつけているポイントはありますか。
どこの神社でも、入場までは撮影できますね。そこから修祓や祝詞奏上といった神様へのご報告があり、その後三三九度に入れば、撮影できることが多いです。先日の富岡八幡宮もそうでしたが、中は暗いですよね。でもストロボをあまり発光するわけにはいきませんから、感度を上げてスローシャッターを切ることが多いです。
新郎新婦が入場するところも撮影。神前式の流れに沿ってよい表情を切り取っていく。
親族の集合写真の後、参加者全員のリラックスした集合写真はとてもよい表情でした。
当日のスナップなどは、瞬発力と観察力が必要ですね。真顔の後にリラックスした写真が撮れればそれもよい記念になると思います。
大きな声で指示を出す安澤さん。参加者の皆さんでハートマークのポーズ。
メモリカードや周辺機器で今後の要望はありますか。
今や128〜256GBの製品も出てきていますが、一度の撮影で64GBを使い切ったことはないので、容量的には十分です。それよりもカード枚数を増やしていきたいかな(笑)。
フェーズワンでロケ撮影をすることもあります。XFシリーズになってから、ミラーブレがしなくなって手持ちで撮影しやすくなったんですね。その時でも、64GBで足りなくなったことはないかな。ただフェーズワンは1億画素まで出ていますから、128GBのEXCERIA PROは使うと思います。
フェーズワンとEXCERAIA PROの相性ってどうでしょうか。
またロケで、35mmデジタル一眼レフカメラではなくフェーズワンを使う理由も教えてください。
まずフェーズワンとEXCERIA PROとの相性ですが、トラブルもないし書き込みも速いです。ロケ先で35mmではなくミドルフォーマット(フェーズワン)を使う意味は、一言でいうと「クオリティの追求」です。
現在、新しく「トップウエディングフォトグラファー」というブランドを立ち上げていて、前撮り写真のクオリティを上げていきたいと考えています。一般的に行われている前撮りって、スナップの延長がほとんどなんです。
ターゲット層を上に設定して、写真にこだわる人や、お金を出してもクオリティにこだわる顧客を対象としたビジネスを展開していきます。そのためには、EXCERIA PROやフェーズワンといった製品にまず自分が投資して、最高のツールで仕事をしていきたいと考えています。
最後に安澤さんにとって「EXCERIA」を一言で表すとどんな言葉になりますか。
僕にとっては「絶対的な安心感」ですね!
今後の活動、やってみたいことを教えてください。
7月1日より、イオンウエディングのツヴァイと提携し「ちいさなしあわせ写真館」の撮影、運営をスタートしました。
小さな空間を上手に使ったライティングや演出によって、優しくてストーリーを感じる写真を作り出します。技術力を見込まれて「トップウエディングフォトグラファー」のブランド名を出しての提携は、僕に取って大きなプレッシャーでもありますが、とても楽しみです
また、日本ウエディングフォトグラファーズ協会でのワークショップやライティングセミナーを精力的に開催し、ウエディングフォトグラファー全体のレベル向上を目指していきます。
東芝「EXCERIA PRO」シリーズ
高速連写・4K動画撮影対応のプロ仕様メモリカード
SDメモリカード:製品情報
http://www.toshiba-personalstorage.net/product/sd/sdxuc/index_j.htm
CompactFlash®メモリカード:製品情報
http://www.toshiba-personalstorage.net/product/cf/cfax/index_j.htm
「The Professional Voice」vol.2 安澤剛直 Photographer
1975年東京生まれ。
家業が写真館だったため、幼い頃から写真家の父を見て育つ。
大学中退後、日本写真専門学校を卒業。
博報堂フォトクリエィティブ(現博報堂プロダクツ)入社 。
退社後、婚礼、雑誌等経て渡米し、丸山晋一氏に師事。
2006年 An'z Photography を設立。
2009年11月 株式会社アンズフォトに改名。
2012年 一般社団法人日本ウエディングフォトグラファーズ協会設立に従事し、初代会長に就任。現在理事。
http://www.topweddingphotographer.tokyo/
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