スタジオD21(ディーツーワン)の特徴を教えて下さい。

 レンタルスタジオはたくさんありますが、最近は写真に関わっているオーナーが少なくなりました。D21の特徴としては、私がスタジオの代表をしていますが、一方で現役のフォトグラファーとして仕事をしている、ということでしょうか。
 現役で撮影の仕事をしていると、新しい機材の情報だけでなく、今、世の中からどのような写真が求められているのか、どういった事がスタジオスタッフに求められているのか、肌で感じとることができます。そういうフォトグラファーサイドの気持ちをスタジオ運営に活かすことができます。
 一方で、レンタルスタジオは「箱貸し」という割り切った考え方もあります。昔はスタジオがフォトグラファーやスタジオスタッフを育成すれば、成長してまた自分が育ったスタジオを使ってくれる、という"良い循環"がありました。今はフリーペーパーのお店の取材ではライターが写真を撮ったりしますから、そういうところでフォトグラファーの仕事はなくなりつつあります。出版社の状況も年々厳しくなってきていますからね。
 フォトグラファーも人気と力のあるトップの1割は仕事が回っていて、あとは単価の値崩れが起きてしまっている。中間の仕事がなくなってきて空洞化しつつあります。出版社もスタジオを使う予算がなく、ロケか自社スタジオを使うようになってきています。スタジオにとっても、フォトグラファーにとっても厳しい時代です。

  • スタジオD21スタジオD21

D21はスタジオ業界の中でも、デジタル化に対する対応も早かったですね。スタッフの育成はどのようにされているのですか。

 D21の強みと言えば、直アシ(フォトグラファーのロケ撮影に付いて撮影アシストをする)があるので、スタッフはスタジオ撮影だけでなく、フォトグラファーの様々な仕事を見て、経験しているので「あらゆる撮影に柔軟に対応できる」という点です。
 D21の中にもフォトグラファーが3名在籍していますし、レタッチャーもいるので、撮影後に必ず発生するレタッチ作業やデザインワークにも対応します。
 若い子は敏感だなぁと思うのは、雑誌のファッションの仕事では食べていけなくなってきているので、ブツ撮りを真剣に勉強する人が増えてきました。ブツ撮りは経験を積めば積む程、早く確実にいい写真が撮れるようになりますから息が長い。長くフォトグラファーとしてやっていきたいと考えた時には、その気持ちもわかります。
 僕自身がコマーシャル・フォトグラファーとして、人物から、料理、車から携帯電話まで、あらゆるものを撮るので、サポートしてもらうD21スタジオスタッフのスキルアップに繋がっています。
 スタジオでありながら、企画に合わせた機材の提案や準備、撮影、最終フィニッシュまで、ワンストップで請け負えます。レンタルスタジオではありますが、「制作プロダクションとしての機能を持っている」、ということですね。
 また、主に土日ですがスタジオが空いている時はスタッフに開放していますし、ハイエンドデジタルバッグ等についても、勉強したいということであれば使わせて、作品撮りをバックアップしています。
 人脈を作ることの重要さを含め、アシスタントの教育には力を注いでいます。人との出会いがなければ何も生まれないし、仕事も来ませんからね。よくスタッフに話すのは「君が呑み屋に行った時に、明るくて気が利くAさんと、ニコニコしているけれどあまり気が利かないBさん、ブスッとして気が利かないCさん。君が社長なら誰を雇うか?」。もちろん皆Aさんと答えます。「じゃあ君がAさんになりなさい」と言っても、いざ自分のことになるとピンとこない。自分を客観視できないんですね。でもそんな世間話を含めて、「食べていくため」の指導はしています(笑)。
 スタッフを教育するのにマニュアルはありません。マニュアル化すると、平均点で終わってしまうんです。僕はそれが嫌だったので「現場で覚えろ」という主義です。9:00〜17:00で収まる仕事をしたいなら公務員になりなさいと...。ある意味厳しいかもしれませんが、応用力はつきますね。スタジオスタッフが10人前後とまだ少人数なので、目がいき届くということもあるかも知れません。
 フリーのフォトグラファーさんへの制作協力も行なっています。作品制作に限り、スタジオが空いていれば、正規料金の半額でお貸ししています。基本的には土日。とにかく若いフォトグラファーを育てたいという思いは強いです。

今、商品と人物撮影の割合はどのくらいですか?

 うちの場合は50%がプロダクツ系、30%が人物、あとはムービーですね。ブツばかりでは偏りがあるので、 ブツ撮りの緻密さ、ファッションフォトのチームワーク、その両方に対応できるスキルがあります。キッチンスタジオがあるので、料理等のシズル撮影にも対応できます。
 撮影機材に関しては、フェーズワンのP45からデジタル一眼レフカメラ、MacProのモニターセットまでレンタル可能です。またD21内にはレンタルショップの石坂も入っていますので、照明機材含め、あらゆるニーズに対応できます。
 でも機材以上に、マンパワーが重要だと思っています。Photoshopが使えることは当然として、デジタルバックでも一眼レフでも、弊社スタッフは全員Capture Oneを使って作業をしていますから、完全に使いこなしています。現場での撮影カットの比較やセレクト作業もスムーズに行なえますよ。
 最後にPRなんですが、リトルロックスタジオ新小岩を中心に、四街道、群馬・藤岡にハウススタジオがあります。特に新小岩は180坪の中庭や、様々なシチューエーションが一日で撮れるよう内装を工夫しているので、広告、雑誌で活用して頂きたいです。

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