今回の撮影のビジュアルコンセプトから教えて下さい。

 昔、「お花を人間の肌に合成してタトゥーのように表現する」という作品を作ったことがあって、「それをもう一度やってみたい」と思ったのがきっかけです。
お花は椿を使いましたが、それで「どういう女性像を見せたいか」と考えた時に、いわゆる吉原のおいらんのような。あの時代の凄く豪華で退廃的な遊びの文化と、ヨーロッパのデカダンスな文化の両方をミックスしたような世界観を、アジア人モデルを使って表現しようと考えました。ちょうど今の東京の空気にも重なるのかなあと思って。それがコンセプトです。

  •  01.今回、撮影に使用するために準備した「椿」。
    02.ヘアメイク中。左からヘアのABEさん、スタイリストのTAKAOさん、メイクのRyujiさん。
    03.メイクをしている間に、椿を先に撮影する勅使河原さん。

Profotoはいつ頃から使われているのですか。

 正直な事を言うと、長い間、他社製ストロボを使っていました。ただある時期から、シャープに写り過ぎることに疑問を感じてきていました。Profotoのストロボって、悪い意味ではなくて自然に滲むんですよ(笑)。そうすると、ディテールの出方が写真っぽいというか...。自分でもレタッチするので、それがよくわかるんです。
 僕はアニー・リーボヴィッツの写真が好きなんですが、彼女の光を見ていると、やっぱり「写真の光」なんですよ。彼女が使っているのがプロフォトだったので、最初は単純にそれを真似していました。「傘トレで被写体に近づけてあてる」とか...。
 今日はフェーズワンのボディを使いましたが、普段はハッセルのボディにフジのカリカリのレンズを付けているのですが、それとProのライトの組み合わせがちょうどいい感じになったんです。それからProを使うようになりました。

Pro-8aの使い勝手はどうですか。

 確かスタジオプリモで使ったのが最初だったと思います。鬼のようにチャージが速くてびっくりしました(笑)。それが第一印象です。それからPro-8aを使うようになりました。リフレクター類もモデルが変わってからよくなりました。昔のリフレクターって、モデリングとフラッシュバルブのあたる場所が違って見えたんです。それが正確になってきた。ロケでもb3を使うようになったり...。色々な偶然が重なったのもありますね。
 気がついたら、オパ(ソフトライトリフレクター)が変わっていたんですよ。昔のプロのオパはちょっと苦手だったんですけど、今のリフレクターは光がキレイで、すっかりProユーザーになっちゃってます。
 今回は、オパのリフレクターは白を使って、外のオクタライトはシルバーを使って強めに出しています。僕は基本的に「外国人の場合はシルバー」が多くて、「日本人の場合は白」でいく事が多いです。今日はアジアンモデルで、その中間と言うか、ミックスして使いました。

  •  04.メインライトはプロフォトのオクタソフトボックス(八角形)の中にソフトライトリフレクター(オパライト)。
    05.バック用に使用したアンブレラXL Silver。
    06.エアブラシを使って髪に色をつけていくRyujiさん。

撮影の時のシャッターを切るタイミングが早い方だと思いました。

 そうですね。CaptureOneの進化と共に、どんどん早いタイミングに慣れてきちゃっています(笑)。たまに国産の遅いストロボだったりすると悪夢かと思っちゃいます。「カシャ、ガチガチガチ、ピー」とか言われると...。ほんの1~2秒の差なんですけどね。人物の場合は、それが大きく違ってくるんです。
 デジタルカメラも進化して、IQ180は8000万画素もあるのに、どんどんシャッターが切れますよね。すぐにシャッターを切りたいのに、それをストロボのチャージタイムに合わせるのは、撮る立場からするとストレスが溜まります。昔はストロボのタイミングでキャプチャーレートの遅さをカバーできていたのですが、今は逆にストロボがどこまで追いつけるかが重要ですね。 フル発光でもチャージが速いです。まれにバック飛ばしでフル発光する時があるんですが、Pro-7まではフル発光にすると体感的には遅かったんです。でもPro-8aはフルでも1秒かからないのがいいですね。それと電源をONにしたまま、コードの抜き差しができるようになったのは便利です。
 あとAir USBは初めて使いました。CaptureOne側から出力をコントロールできるので、人が少ない時は便利ですね。今日はスタジオスタッフさんがいるので問題ないですが、僕とアシスタントだけでも全部できちゃいます。個人でスタジオがある方なら、Pro-8aを4台くらい入れればMac側でコントロールできるので便利。独立調光なので、トータルの台数を少なくできますからね。そういう意味では2400Wsタイプの方がコストパフォーマンスはいいかも知れません。100Vの家庭用電源で使えるので、ハウススタジオでも問題なく使えますね。
 ジャンボアンブレラ(Umbrella XL)もいいですよ。僕は似たような他社製品をよく使っていたのですが、ほぼ同機能で値段も安い(笑)。自分のニーズを満たしてくれるアタッチメントが豊富にあるのもありがたいですね。

PhaseOne 645DFの印象はどうですか。

 普段ハッセルを使っている自分も、今回初めてPhaseOne 645DFを使ってみて、驚きました。タテ位置グリップが握りやすいし、ファインダーも明るくて、ピントの山がつかみやすい。ミラーショックも少ないので、今までよりもスローシャッターが切れます。1/1600秒までシンクロするので、そのスピードを活かした撮影もできますね。
 強いて言えば、LSレンズAFレンズを併用する場合、シンクロシャッタースピードが変わるので、そこだけ少し戸惑ったかな。でも慣れの問題かもしれません。
 ここまでの解像度が必要なのか、と言われればそうですが、やはり8000万画素の画像は魅了的だし、トーンカーブを極端にいじっても、色が破綻しないんです。それだけ色の情報を持っているので、レタッチもしやすい。
 「センサー+」を使うことで「雑誌サイズの仕事は2000万画素でさらにスピードを活かし、レタッチの負荷も低減。広告の仕事は8000万画素で」という使い方ができるので、無敵ですよ(笑)。

  •  07.撮影中の勅使河原さん。カメラはPhaseOne645DF。レンズはシュナイダーの110mm。
    08.モデルは台湾出身のHild Lee(ヒルダー)。

■CREDIT
ST:TAKAO(angle)Hair:ABE(M0)Make:Ryuji(AVGVST)M:Hild Lee(DONNA)Pro:Daisaku Sakata(TSUNAGARI)衣装:THIMISTER(HiRAO INC:0357718809)TSUKIKAGEYA:0334657111