フォトグラファーになろうと思ったきっかけを教えてください。

小学校の教師になろうと思って教育系の大学の美術科に進んだのですが、そこで写真に出会いました。大学ではたくさんの表現方法を学びましたが、その中でも、カメラを通して見ることのできる世界の面白さや、コミュニケーションのツールになること、残せることが自分にすごく合っていると感じ、写真をもっと学ぼうと思ったことがこの世界に入るきっかけです。

山本彩乃さん。

たしか教員免許を持たれていましたよね。

幼・小・中・高の教員免許を持っています。小学校と中学校に教育実習に行ったのですが、小学生のこどもたちがかわいすぎて、先生という立場を忘れて写真を撮りたくなってしまったんですよね。勉強や生活面のことを教える立場の先生が「これではいけない!」と思ったんです(笑)。

こどもはすべてを全力で行うので、その姿がかわいいですよね。

そうなんです! 受け持った小2のクラスの子どもたちが給食を全力で盛った結果、半分の生徒たちはてんこ盛りで、残り半分の生徒たちはカラになってしまったことがありました。先生だったら生徒を諭してやり直させなければいけないのでしょうが、私はその姿を見て「おもしろい!」と思ってしまったんです。「写真を撮りたい!」って。そういうことが重なって、「私は、かけがえのない今という瞬間を、写真で残したいんだ」と気がつきました。それで写真をもっと勉強しようと思い、大学卒業後に写真の専門学校に通うことにしました。

普段はどんな仕事が多いですか。

人物写真を中心に、広告、雑誌、ムービー、カタログなどが多いです。かっちり決まっているものもあれば、ドキュメンタリー的なものもあります。どちらでも共通しているのは、「自然な良い表情を引き出して、良い瞬間を切りとってほしい」ということが多いです。
こどもとお年寄りが好きなので、作家活動でもこどもやおじいちゃん、おばあちゃんを撮ることが多いですね。



デジタルカメラはいつ頃から使い始めましたか。

最初はフィルムカメラを使っていましたが、専門学校時代にデジタルカメラが出始めたので授業で使っていました。10年くらい前の話なのでまだまだデジタルカメラの性能はよくなくて、好みの感じに撮れずに試行錯誤したことを覚えています。

仕事でデジタルカメラを使うようになったのはいつ頃ですか。

フォトグラファーとして仕事をし始めた頃はフィルムの中判カメラをメインに使っていましたが、デジタルカメラの性能もよくなってきていたので、「デジタルで」という依頼が増え、必然的にデジタルカメラも使うようになりました。いまはデジタルカメラを使うほうが仕事では多いです。

メモリカードは何を使用していますか。

今は複数のメーカーを分けて使っています。

複数メーカーのメモリカードを導入したのはなぜですか。

壊れる・壊れないは一定以上の品質であれば、メーカー側の問題というよりも確率の問題なんだと思うんですよね。いくら知り合いのフォトグラファーやインターネットから情報収集しても「一意見」でしかなくて、パソコンが10年持つ人もいれば、すぐに壊れてしまう人がいるのと同じだと思うんです。だから少しでも安心を得るために、複数メーカーのものを持つようにしています。

価格は重視されますか。

仕事で使うので信頼性重視です。安くて信頼性が低いようなら、高くて信頼性が高いほうを選びますね。




今回、東芝のハイスペックモデル「EXCERIA PRO」を使っていただきましたが、印象を教えてください。

128GBのSDメモリカードと64GBのCFカードを使わせていただきましたが、どちらも書き込み速度が速くて驚きました。仕事でも作品でもこどもを撮ることが多く、こども独特の予期できない動きを追うにはどうしても連写になります。連写時の書き込み速度がいつも使っているものに比べると格段に速く感じ、このスピードなら良い瞬間も逃さないなって思いました。


EXCERIA PRO のCF(左)とSDメモリカード。

こどもの撮影は大変そうですがコツはありますか。

こどもにゴールを伝えても思うように動いてくれないので、何個か手前のことを伝えておいて、ゴールになるような動きをしてもらうようにしています。たとえば、こどもが笑って走っている写真を撮りたいとします。「笑って走って」といってもこどもは絶対にしてくれないので、私から離れたところに行ってもらい、「競争だよ! よーい、どん!」というと勝手に笑って走ってきてくれるんですよ(笑)。こどもを撮るときの声かけはすごく大事ですね。絶対にこの画で撮りたいというときは、彼らがどうやったら理想の場所に自然に来てくれるのか、誘導方法を考えるんです。それが楽しいことならこどもは絶対にやってくれますから。

勉強になります。

こどもはすぐに飽きてしまうので、フレッシュな状態で撮るための声かけや誘導方法はすごく大切です。気持ちを上げるような小道具も持っていきますし。コミュニケーションに集中したいので、転送速度が速いメモリカードのほうが断然いいですね。

山本さんはロケでの撮影が多いですが、外でのメモリカード交換は嫌なものですか。

雨のときは濡れないように気をつけたり、風がある日は埃が入らないように気をつけたり、室内のときより気をつかいますね。最近のメモリカードは容量が大きいので、なるべく外では交換しなくて済むような容量を選ぶようにしています。いまは64GB、32GB、16GBを持っていて、普段は32GBを使うことが多いですが、悪天候のロケ時や動画撮影時には64GBを使うことが多いです。

山本さんがメインで使われているニコンD800はCFとSDメモリカードのダブルスロットですが、やはり便利ですか。

集中してたくさん撮れるのですごく便利です。同じ写真データを2つのメモリカードに同時に記録する設定もあって、撮影しながらバックアップをとっていけるので、すごく安心感があります。しかも「EXCERIA PRO」は書き込み速度が速いので、スムーズに撮影できますね。

「EXCERIA PRO」を使ってみて、気になったことはありますか。

見た目のことになってしまうのですが、普段使っているSDメモリカードは裏の基盤が1列なのに、「EXCERIA RRO」のSDメモリカードは2列になっているのでどうしてなのかなと。

東芝の方に伺ってみたら、UHS-IとUHS-IIという2つの規格があって、最新規格のUHS-IIに対応しているSDメモリカードは2列になっているそうですね。UHS-IIに対応しているデジタルカメラであれば、2列になっているSDメモリカードのほうがよりカメラのパフォーマンスを引き出すことができるのだとか。仮に、UHS-Iのみに対応したカメラで使用しても、高速なUHS-Iカードとして使用することができるそうなんです。

メモリカードもどんどん進化しているのに、昔から使っているからという理由だけで同じものを使い続けているのは、もったいないことなんだなと反省しました。

動画撮影での印象はいかがでしたか。

D800で動画撮影をしてみました。普段使っているメモリカードに比べると明らかに書き込み速度が速く感じました。ムービーは流れがあるので、安心してスムーズに撮れることは重要なポイントです。特に仕事では、書き込み速度が遅くて途中で止まってしまったとか、容量が足りなくて途中でエラーになってしまったとか、絶対に許されませんから。

ロケではメモリカードをどれくらい持っていきますか。

必ずCFとSDメモリカードを数枚ずつ持っていきます。長期ロケのときはかなり持っていきますね。1日の終わりにパソコンにバックアップをとって、場合によっては外付けHDDにも保存します。仕事が終わるまではメモリカード内のデータもすべてとっておきます。いままでパソコンや外付けHDDが壊れた経験はないですが、リスク回避のために念には念をで。

バックアップするときの読み出し/書き込み速度も重要ですか。

プロのフォトグラファーはRAW+JPGで何百枚、何千枚と撮ったデータをバックアップしなければならないので、バックアップ時の速度もすごく重要ですね。ハイエンドクラスのメモリカードは読み出し/書き込み速度も速いですが、「EXCERIA PRO」はさらに体感スピードが速く、ストレスなくバックアップすることができました。動画のデータをバックアップするときも速くて驚きました。

仕事では現場を滞らせないことを求められる傾向にありますよね。

現場やチームによるのかもしれませんが、仕事ではスムーズに行うことを重視されているように感じます。だからバックアップ時の速度も速ければ速いほうがありがたいですね。クライアントなどから信頼を得るためにも、どんな機材を選ぶかはこれからもっと大事になっていくのではないかと思います。

特にメモリカードはトラブルがない限りずっと同じものを使い続ける人が多いと思いますが、性能がどんどん上がってきているので、新しいものを取り入れていくべきですね。最近はムービーを撮るフォトグラファーが増えてきているので、大容量で転送速度が速いメモリカードの需要はさらに高まると思います。「EXCERIA PRO」なら安心して撮影できるので、いろんなシーンで使っていきたいですね。



作品集「スプリング・コレクターの話」
作品・文: 渡邉紘子
写真:山本彩乃
ブックデザイン:加藤勝也
発売:東塔堂
発売日:2015年9月
価格:3,024円(税込)
取扱店:東塔堂・dessin・恵文社・ブックギャラリーポポタム・ON READING
http://totodo.jp/SHOP/Q3-0016.html

りす写友会「寿ぐ(ことほぐ)」
奈良県立図書情報館開館10周年記念展に、俳優・佐野史郎氏が発足した「りす写友会」のメンバーとして参加。
日時:2015年11月10日〜11月29日
場所:奈良県立図書情報館
開館時間:9:00〜20:00






東芝「EXCERIA PRO」シリーズ
高速連写・4K動画撮影対応のプロ仕様メモリカード。





SDカード:製品情報
http://www.toshiba-personalstorage.net/product/sd/e2pxc/index_j.htm
CFカード:製品情報
http://www.toshiba-personalstorage.net/product/cf/ex/index_j.htm